脱炭素化国家戦略などと言うものがまとめられるようですが、その中でも中心とならざるを得ないのがエネルギー計画であり、そこでは当然のように太陽光発電や風力発電をいうものがもてはやされることでしょう。
しかしこれまでにも繰り返し書いているように、太陽光発電などと言うものはこのエネルギーまみれの現代文明を支えるには欠陥だらけの物でしかありません。
太陽光発電や風力発電のことを「再生可能エネルギー」などと呼ぶのですが、確かにそのエネルギー源となる太陽光や風力は「再生可能エネルギー」なんですが、それを電力にしようという発電装置となるととてもそれは「再生可能」などと言えるものではありません。
それどころか、この国土を隅々まで破壊し尽くすかもしれないようなものなのです。
太陽光発電などについては、そのエネルギー収支(EPR)の点から全く割に合わないものだとして批判してきました。
それ以外の点でも、その生成電力のあまりにも不安定であることから電力網全体に危険が及ぶことや、その対策として言われている送電の全国規模への拡大や超大型充電装置の整備など、かえって膨大な資源とエネルギーを浪費しかねないことなども大きな問題です。
しかし、どうやら最大の問題点はその製造と建設などに必要とされる資源量が莫大であること、そしてその装置が寿命を迎えた時の廃棄処分にあるようです。
エネルギー収支の分析を見た時、EPR値として同じようなレベルの値であっても火力発電と太陽光発電とではその中身が全く異なります。
火力発電では運転に伴うエネルギー消費、つまり燃料となる石炭などの採掘や運搬に多くのエネルギーが消費されるのですが、太陽光発電はその消費量は無視できるものの電力量の割には大きな装置建設エネルギーが必要です。
そしてそこにはエネルギーだけでなく膨大な資源も必要とされます。
太陽光パネルの製造には多くの電力が必要とされるのですが、それだけでなくシリコンなどの資源やアルミ・鉄などの金属資源、ガラス、プラスチックなどの素材が大量に必要となります。
さらに電線が大量に必要であることも、すでにそれを狙った窃盗団が跋扈していることからも明らかです。
しかもそれが太陽光発電設備一つ一つについて必要となってきます。
このように、太陽光発電では投入エネルギーも多大であるに加え、投入資源も大量になるわけです。
そしてそれが発電装置の寿命が尽きた後(それもわずか20年です)にはすべてが廃棄物となります。
太陽光発電技術が始まってからすでに寿命がつきたものが出始めていますが、そのごく少数の装置の廃棄物すらすでに問題になり始めています。
それが今後その数百倍、数千倍の装置がどんどんと捨てられるようになった場合どうなるのか。
本来ならばこういった装置は「完全リサイクル」できるように設計され最初からそれに基づいて運用されなければなりません。
しかし実態はそのような考慮は全くないままです。
今頃になってほんの一部を再利用などと言うことがニュースになるほどです。
あまりにも事態を軽視していると言わざるを得ません。
しかもこういった太陽光発電所などを設置している業者たちが環境意識が高いかというと全く逆のようで、再エネ賦課金で儲かるからとカネにつられて参入してくるような状態です。
とても操業終了後の環境整備などを考えているとも思えません。
今後10年20年経った頃の国土の惨状は容易に想像できます。
このような脱炭素化は気候変動に対する予防原則に基づいて行うとされてきました。
しかし太陽光発電・風力発電などの運転終了後の廃棄物化の危険性は予防原則などを振り回さなくても簡単に想像できるものであり、その対処なしに闇雲に進めてはいけないものです。
それを軽視していては国土全体が大規模環境破壊にさらされることが明らかでしょう。