経産省の試算で2030年には太陽光発電が「原子力を抜いて」コスト最安になるということが発表されました。
news.yahoo.co.jp上記のニュースでは「原発の発電コスト上昇」の方に力点が置かれているようですが、最も問題なのは「太陽光発電がトップ」という方でしょう。
しかし、「これまでは原子力がトップだった」ということ自体、多くの関連事項を何も計算に入れていない本当の机上の空論としか言いようのないものだったということが明らかで、こんなのだめだねといってポイと捨てれば良いようなものですが、ニュースや新聞などで皆大きく取り上げているので、やはりいかにダメな空論かということを強調しておきましょう。
この試算ではかつては原発発電コストはkwhあたり4円台などという数字を出していたはずです。
しかしさすがに福島原発事故以降は事故損害補償を入れた値ということになり11円台まで上昇しました。
とはいえ、それもあまりにも控え目すぎる数字でしょう。
廃炉、使用済み燃料処理等々、問題となる費用はほとんど無視されているはずです。
全部を入れれば数百円、数千円になっても不思議はありません。
太陽光発電でも同様の事情であるとは考えられないのでしょうか。
これはあくまでも発電パネルだけを考えた数値のはずです。
確かに発電パネルの価格は下がっており、このような低下につながるのでしょうが、それだけでは発電システムと言えるはずもありません。
「太陽光発電だけで一地域の電力をまかなえばどうなるか」
電力供給が変動し続け、使い物にならないのは言うまでも無く、さらに「夜はお休み」になるという宿命があります。
根本的なところで既存の火力等の発電システムに多くを依存しなければならない太陽光発電が「コスト最安」などと言っても何の意味も無いでしょう。
少なくとも、蓄電池や揚水型ダムによる蓄電システム、大容量コンデンサーによる電力平滑化など、やるべき対策をきちんと取った上での総合的な発電コストを考えなければ、一般国民に大きな誤解をさせてしまう危険性があるものです。
なお、このような疑問だらけの計算でもあの「洋上風力発電」は他よりはるかに高い26円台ということで、さすがにその実用性皆無ということは隠しようもないということでしょう。
なお、この前から注目している米山隆一さんがツイッターで次のようにツイートしていました。
1kwh当たりの発電コストの最安が原発から太陽光に 変わったという経産省の試算です。原発の経済性の神話は、原発の危険性を把握せず安全対策をお座なりにする事によって作られた物に過ぎず、十分な安全対策を講じた原発は決して経済的ではないという事実は極めて重大です。https://t.co/0sVHyhe5nu
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) 2021年7月12日
原発に関する指摘はまったくごもっともで、問題はありません。
しかしこの試算において同様の問題点は太陽光発電にもあるのではという疑問は生じないのでしょうか。
熱海の土石流との関連のみを取り上げていますが、根本的なところは分かっていないかのようです。
その点が少し疑問を感じるところです。