リンゴは人類が最初に栽培した果樹とも言われています。
そのためか、古代の神話から現代にいたるまで頻繁に登場し、その重要性も確かなものです。
そのリンゴの歴史から現在の栽培状況まで、さまざまな視点から書かれています。
リンゴの原産地はカザフスタンであると考えられています。
そこには現在でも多種多様なリンゴが栽培されています。
そこから東西に伝わったリンゴは各地で重要な栽培果樹となりました。
リンゴは種子から育てた場合、すぐに性質が変わってしまいます。
そのため、同じ性質の木を増やそうとするなら接ぎ木をしなければなりません。
このような接ぎ木の技術がいつから行われていたかは不明ですが、3000年以上前に中国と古代バビロニアでは接ぎ木が行われていた証拠が残っています。
紀元前9世紀のアッシリア、紀元前1200年頃まで栄えたヒッタイト、紀元前8世紀のギリシアでもリンゴが栽培されていたようです。
紀元前5世紀に栄えたペルシア帝国では各地でリンゴの栽培が行われ、品種改良も進みました。
そのペルシアを征服したアレクサンダー大王によりリンゴはギリシア世界全体に珍重されるようになります。
ローマでも好まれたリンゴは、ローマ人が征服したヨーロッパ全土に広がっていきます。
リンゴが登場する物語は古代から現在まで数多くあります。
アダムとイブの物語に登場する禁断の果実はリンゴだったと考えられています。
イスラム教の開祖ムハンマドは大天使からリンゴを与えられました。
白雪姫が貰ったのも毒リンゴでした。
現代のニューヨークは「ビッグ・アップル」と呼ばれます。
これは1920年代に有名なライターであたジョン・フィッツジェラルドが最初に使ったのですが、競馬で使われていた「大金が手に入る一流の場所」という言葉をニューヨークにも使ったのでした。
ヨーロッパや禁酒法以前のアメリカではリンゴから作った酒シードルが盛んに作られて飲まれました。
ブドウを栽培するには寒すぎる北の地方ではリンゴを使って酒を作る方しかありませんでした。
現在でもフランスの一部でシードルが作られていますが、かつてはイギリスでも多く作られていたようです。
そのため、イギリスからの移民が多かったアメリカでも盛んに作られた時期がありました。
しかし禁酒法でその製造も中止され、その後は復活することもありませんでした。
最近になって、高品質のシードルを作ろうという気運が各地で高まり、その技術も進歩しているようです。
リンゴの品種改良は現在でも世界各国で続けられています。
日本でもフジや陸奥といった品種が作られています。
今後も世界中でリンゴの栽培は続けられていくことでしょう。