年寄りの毎日の楽しみ、午後のテレビドラマの再放送を見ていてあることに気づきました。
この時間帯の番組のCMには、視聴者の年齢のためか、健康食品のものが非常に多いのが特徴です。
ドラマの合間、CMをボーっと見ていると、健康食品でも最大手といえるS社のCMが流れていました。
S社といえばかつては酒類でも日本有数の企業だったのですが、今では健康食品がメインではないかと思うくらいの情勢です。
そのS社の最近の製品のCMを続けざまにやっていたのですが、それがどれも「機能性表示食品」でした。
S社は以前から健康食品をあれこれと販売していましたが、これまでは「トクホ」(特定保健用食品)が多かったというイメージでした。
それが、こう変わってきたのかというのが驚きでした。
マーケットの現状を見ても、機能性表示食品というのが拡大を続けてトクホ(特定保健用食品)は縮小しているようです。
この記事は2018年のもので、2018年も見込み、2019年は予想となっていますが、おそらくその通りに推移しさらに現在は勢いが拡大しているものと思われます。
特定保健用食品と機能性表示食品、どこが違うのでしょうか。
www.suntory.co.jp上記記事にまとめられている表が非常に分かり易い(さすが)ようです。
一言でいえば、トクホは「最終製品によるヒトでの試験(効果・安全性)を実施し、消費者庁の許可を得る」のに対し、機能性表示食品は「最終製品によるヒトでの試験、または文献や論文などを引用して科学的な根拠を示す、消費者庁に届け出る」というものです。
もちろん、機能性表示食品において「最終製品によるヒトでの試験」などやっている例はないでしょうから「または」以降が実情です。
つまり、自分で試験を実施しなくても、科学的に認められた論文などが発表されていればそれを引用することで届けることができるわけです。
トクホがスタートしたのは1991年、もう30年近くも前の話です。
それに対し機能性表示食品は2015年にスタート。
安倍内閣の景気対策施策のアベノミクスの一環として始まりました。
使う側の立場に立ったものではなく、あくまでも業者にとって事業拡大を目指すのに役立つものとして施行されたと考えられます。
トクホは自社で試験などをしなければならないため、巨額の費用がかかるので大企業でなければ実施不可能と言われていました。
そのため、2019年の時点ですでにトクホ1061点に対し機能性表示食品1714点と上回っています。
さすがに業界トップとも言える上述のS社は機を見るに敏、消費者などトクホと機能性表示食品の違いにも気づかないなら、はるかにコストのかからない方にしておけということになったのでしょう。
そんなわけで、テレビCMは機能性表示食品が目白押し。
それにつられて買う消費者が多いということでしょう。
なお、それでもまだ「それ以外」の健康食品も多数あります。
それらも「健康効果」などをうたって、医薬品まがいのCMをギリギリの表現でやっていますが、機能性表示食品はそれと比べればまだマシなのかもしれません。
五十歩百歩ですが。