熊本市の焼き鳥店で「鶏刺し盛」というメニューでカンピロバクター中毒が発生し、市は同店を2日間の営業停止にしたそうです。
焼き鳥の専門店でもカンピロバクターという食中毒原因菌の性状をほとんど知らず、「うちの鶏は新鮮だから大丈夫」などと言う店主が跡を絶ちません。
カンピロバクターという細菌は「微好気性」という性質を持っており、酸素が微量にある環境でのみ増殖します。
そのため、動物の腸の中などに生育しており、体外に出ると酸素に触れて徐々に死滅します。
したがって、「屠殺直後の新鮮な肉」で一番カンピロバクターが多く、古くなると徐々に減っていくことになります。
この辺りは、大腸菌などの通常の細菌のように、大気中でも増殖できるものと大きく異なっています。
こういった細菌は古くなるほど増殖することがあり、徐々に腐敗していくことになります。
なお、カンピロバクターは加熱には弱く、65℃1分の加熱で死滅します。
ただし、肉の中心部などに存在した場合、そこまで火が通らないままだとその付近の菌は生き残ることがあり、「食材の中心までしっかり加熱すること」が重要なポイントとなります。
上記新聞記事は地元の熊本日日新聞ですが、そこに書かれている保健所発表文が傑作です。
市保健所は、3人が食べていた鶏刺し盛りの加熱不足が原因とみており、「鶏肉は中心部までしっかり加熱調理するように」と呼びかけている。
「鶏刺し盛」を加熱して食べるとほんとうに考えているのでしょうか。
いくら保健所発表でも少しは考えて記事にしてもらいたいものです。