爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「新鮮な肉だから鶏刺し」というのが間違いだと誰もが気づくのは何時か

夕方のもったりとした時間をテレビを眺めながら過ごす、退職者しか味わえない至福の時をのんびりと過ごしていました。

 

首都圏や近畿の人にはあまり想像できないかもしれませんが、田舎のテレビ局はこのへんの時間帯には独自のローカル番組を放送します。

そこでは、ごく近いところにある飲食店の紹介や、阿蘇や天草の観光地の紹介など、他愛もない内容ですがちょっと参考にもできるかというものを繰り返しています。

(各局同様の番組をやっているので、紹介される店も繰り返し出てきます)

 

飲食店紹介も、ほとんどが熊本市中心街が主ですので、ちょっとそこまでは行けないという私には少し歯がゆい気持ちもあるのですが、特に魅力のある店があれば無理して熊本市まで出かけようかという気にも(たまーに)なります。

 

というわけで、先日も番組を見ていると、いかにも「こだわり」風の焼き鳥屋が。

炭火で焼き上げたものや、希少な部位を次々と紹介され、出演者の(他県では全く知られていない)ローカルタレントが美味しそうに食べています。

 

しかし、次に出てきた言葉で一気にがっくり。

「厳選した新鮮な素材なので鳥刺しに」

 

これで、焼き鳥業界が全力で取り組まなければならないカンピロバクター食中毒について、この「一見こだわり」店主がまったく無知であることが露呈しました。

 

私がこのブログで繰り返し強調していますが、

sohujojo.hatenablog.com

大きな問題となっている「カンピロバクター」という細菌による食中毒は、「新鮮だから」防げるものではありません。

いや、かえって「新鮮だからこそ」危ないとも言えるものです。

 

カンピロバクターは「一見健康な」鶏も保有しています。この細菌は鶏の体内では悪さをしないので、鶏は病気にもなりません。

しかし、それが締められて解体される際に、腸管を傷つけるとその内容物とともにカンピロも肉に付着する危険性があります。

しかも、カンピロは微好気性といって、腸管内のような低酸素状態で繁殖するもので、大気中では増殖せずかえって死滅していきます。

市販されている鶏肉の大半にはカンピロバクターが付着していますが、それがごく微量であっても人体に取り込まれると急速に増殖することになります。

 

一見、美味そうな焼き鳥を出す店でしたが、行く気はなくなりました。

 

「当店はお客様の安全のために、生や生焼けの鶏肉はお出ししません」と表示する焼肉店はいつになれば現れるのでしょうか。