爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

当分はトランプネタで、まずは関税と移民排斥から

就任1日目でバイデン政権の多くの大統領令を破棄、新たに大統領制を発し前政権とは完全に違う方向に進むことを明らかにしたトランプ政権です。

これについては各所で様々なことが言われると思いますが、私なりに解釈していこうと思います。

 

トランプがアメリカを再び偉大にと唱え、それを最大の武器に大統領選を勝ち抜いたのには「アメリカ製造業の再生」という夢を人々に見させたことが大きな要因でしょう。

しかし、「アメリカ製造業の排除」をしたのはアメリカ企業自身であり、他の国はその移転先となったにすぎず、トランプの言うように「中国の陰謀」などということは全く当たりません。

主に人件費の高騰していたアメリカから安い国へ移し、割安で作られた製品を輸入し(関税無しに)安い製品を消費して喜んでいたのはアメリカ人自身です。

ただし、それで工場などに勤める人間の職が無くなることなどは考えもしなかった。

工場の高い人件費などといっても、途上国のそれと比べればはるかに高いものでしょうが、他の職種と比べれば低く、機械油にまみれて働くような職業だったために、それを嫌がったのも工場移転を進める要因だったのでしょう。

 

しかしその結果工場労働の仕事は激減し失業者が増えてしまった。

衰退産業から勃興産業への労働者の移転などというと問題解決のように感じますが、実際にはそれができない場合が大半です。

既に年老いていて今さら新規に職業に就けないといった理由が多いのでは。

また就業地が現在と異なってもなかなか移動するわけにも行きません。

こういった一見良いことづくめに見えるものでも実際にはそうはいかないということは多いものです。

 

そういった状況を「関税」という安易な方法で解決するかのように見せたトランプに失業者たちは喜んで投票してしまいました。

しかしそれによって自分たちがかつて勤めていた工場が、それも今自分たちが住んでいるすぐそばに再開するなどということが本当に起きるのでしょうか。

 

これからすぐに関税を掛けても製品輸入後の価格が上昇し購入するアメリカ人が負担するだけです。

それに代わるアメリカ製品が出てくるまでには相当な時間がかかるでしょう。

もしかしたらトランプの任期4年内には不可能かも。

それまでの間にはいくら価格高騰しても輸入品を買い続けるしかないわけです。

 

さらに工場を開業し操業しようとしても労働者の賃金はやはり低く押さえなければなりません。

そのような職業に就くべき人たちは多くは移民でした。

アメリカにやってきて安い給料でも働けばそのうち良くなると信じて。

しかし不法移民を国外退去させることもトランプは公約しています。

そこにも多くのアメリカ人たちの勘違いがあります。

安い給与の職業を彼らが奪ったのではなく、アメリカ人たちがそんな職業はやらなくなったのを代わりにやってもらったと言うべきでしょう。

不法移民がいなくなればそういった職業に就く人がいなくなるだけです。

かくして、労働者不足からそういった職場は成り立たず、そのまま高い輸入品を買い続ける状況は続きます。

 

このようなわけで「アメリカを再び偉大に」しようとしてもなるはずもなく、インフレはさらに激化し失業者が増大ということになりそうです。

 

なお、「アメリカ経済は好調」というのは情報産業や金融についての話だけでしょう。

そういった連中はさらに富を手にしていきます。

ただしそのような連中の人数は非常に少なく、だからこそ一人当たりの財産も莫大なものになっていきます。

そういった連中の代表、イーロン・マスクが政権に入りさらに富の集中を可能とするような政策を実行していくのでしょう。

格差拡大、社会矛盾増大となるのが目に見えるような政権となるはずです。

 

トランプ政権は他にもいろいろと話題の種を提供してくれそうです。

当分はこういった話で当ブログも持ちそうです。