爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「お酒を120%楽しむ」田村隆明著

「お酒を楽しむ」という本は何冊も出ています。

その著者はたいていお酒好きであるのは当然でしょう。

実は私はかつて酒造メーカーに技術職として勤務した経験があり、色々と直接間接にお酒に関しての話は聞いているのですが、その眼から見てこれはちょっとと思われる内容の本も見られます。

 

しかし、本書の著者の田村さんは医学博士で遺伝学などを研究されているということですが、お酒に関する知識も並々ならぬもののようで、内容もほぼ間違いないと言えるものでした。

 

本書第1部の「いろんなお酒に詳しくなる」の部分でもそうですから、第2部「お酒のなぜを科学する」第3部の「お酒を一生楽しく飲むには」という、科学的、医学的な解説のところはさらに専門知識を間違いなく伝えておられるものと見えました。

 

そういった間違いのない知識もさることながら、本書最終章にある「お酒を120%楽しむ」という書名にもなった部分に書かれている、著者の人生におけるお酒体験には感銘を受けました。

35年ほど前に著者の田村さんは仕事でフランスに住んでおられたのですが、その時にお世話になった先輩のE氏が食通かつお酒好きだったとか。

そのE氏の影響で色々な種類のお酒に目覚めたそうです。

さらに帰国後は清酒を教えてくれる知り合いにも恵まれ、各地の銘酒を訪ね歩く体験もされたとか。

 

その経験から、日本産のお酒は清酒に限らず焼酎やワイン、ウイスキーなども世界に誇れる品質であるとされています。

これは非常に嬉しいお言葉なのですが、それだけでなくその次の章には「まずいお酒を買っても大丈夫」ということまで触れてあり、至れり尽くせりと言えるでしょう。

 

なお、アルコールに関する医学知識で忘れずにいたい点をいくつか引用しておきます。

 

「お酒はエンプティカロリーなので太らないはウソ」

これは、私も良く分っていませんでした。

こういった話を聞くことはありますが、実際には「アルコールにはカロリーがないのではなく、カロリー以外の栄養素は無い」ということだそうです。

そのため、飲むとすぐに熱になってしまいますが、その際他の食物の利用が抑えられるために、結局はその分が太る要因になるそうです。

 

休肝日は必要か」

週に何日かは酒を飲まない休肝日を設けるようにと言うことを医者に勧められることがありますが、実際には休肝日には飲まなくてもその前後の日に飲み過ぎたらかえって悪いようです。

それよりも少量を毎日飲んだ方がまだマシだとか。

ポイントは一週間の総摂取酒量を抑えることだそうです。

 

お酒に関する間違いない知識を身に着けるという用途にも十分に役に立つ本ですが、そればかりではないものを含んでいると感じました。

 

お酒を120%楽しむ!

お酒を120%楽しむ!

  • 作者:田村隆明
  • 発売日: 2020/04/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)