医学について、人々が考えている「常識」は徐々に変わっているようです。
少し前までは医者でもそう思っていたのが、まったくひっくり返っているということもあるようで、気を付けていないといけないのかもしれません。
ただし、本書出版は2011年ですでに「最新」とは言えないかもしれませんが、それは他からの情報で修正していかなければいけないのでしょう。
著者の池谷さんは病院の院長で、内科と循環器科が専門と言うことですが、もちろん本書は医学から周辺領域まで広い範囲を対象としています。
99の項目が取り上げられていますが、中で気になるところだけ紹介しておきます。
最近の日本人は体温が低いか。
どうもそのようで、50年ほど前には平熱の平均は36℃台後半だったのが今では36℃周辺になっているようです。
これは、基礎代謝の低下や食生活の変化の影響かと考えられますが、はっきりはしていません。
しかし、体温低下は悪影響があれこれとあり、感染症免疫の低下と言うこともあるようです。
食物アレルギーは採血で診断できるか。
最近は幼稚園や学校でアレルギー反応による事故があるということで、入園時に食物アレルギー検査をやるというところもあるようです。
しかし、採血してアレルギー抗体の検査をする「RAST」というものは、それほど正確なものではなく、アレルギー抗体が高くても発症しない例も多く、確定診断のためには原因物質の除去と負荷といった試験をしなければならず、このRASTだけで安易に食物除去を行うと栄養不良になる危険性もあるようです。
擦り傷などは消毒した方が良いか。
昔の常識では擦り傷切り傷には赤チンなどを塗っておけでしたが、今ではそういった消毒は皮膚の細胞にダメージを与えるのでいけないということになっています。
傷は流水で十分に流して菌を流し落とし、そのままラップを貼り付けて乾燥させずにおく方が良いということです。
けっこう、知らないことがあるようで、最新知識を仕入れておく方が良さそうです。