爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

野菜は甘ければ良いのか。多くの問題点が生まれている。

昨日は月に一度の通院日(何の病気かは内緒)、待合室で待っていると普段は見ないような番組がテレビに映っていました。

 

そこでやっていたのが、県内ローカルの番組で、農家を訪ねる内容(とにかく熊本県は農業県ですので、こういった番組はたくさんあります)、そこではまだあまり出回っていない新品種の野菜を栽培していました。

それが、とにかく「甘い」が売り物。

まあ何の作物かも伏せますが、糖度11度以上とか。

イカ以上じゃないですかと、出演者の驚いたポーズ。

 

こういった番組を見ていると、その作物が何かにかかわらずとにかく多いのが「甘い」

糖度の数値が出されることも多いのですが、「メロンより甘い」「スイカより甘い」「ナシより甘い」等々、比較に出される果物も似たようなものです。

 

こういった新品種は種苗メーカーの品種改良の努力によるものが多いのでしょうが、番組作りでよく見られるのが「有機栽培」や「自然栽培」などと絡める言い方です。

さらに「野菜本来の甘さ」などと言うものもあります。

玉ねぎなどでも、「辛味は無くなり野菜本来の甘さで生でも食べられる」って、そんなの玉ねぎじゃないだろ。

 

こういった努力?の甲斐あってか、最近では子供でも野菜を嫌わずに食べるとか。ただし、それはあくまでも「カッコ」つきの「野菜」でしょう。

「本来の味の」野菜などは食べられないはずです。

 

ネットで調べても、プロの料理人で「よけいな甘さはじゃまになる」といった声もわずかにありますが、たいていは「甘い野菜の買い方、食べ方」といったものがほとんどのようです。

農水省でも野菜の食味の評価ということが話されてはいるようですが、ここはやはり消費拡大につながることが最大の興味ですから、あまり期待はできないでしょう。

野菜のおいしさを評価する〜野菜のおいしさ検討委員会の概要について〜 野菜情報−農林水産省から−2006年10月

 

まあ、ここまでは食文化の乱れを嘆くということで良いのですが、もっと切実な問題は健康上の話になります。

 

私も一時は血糖値が上昇し、糖尿病寸前の状態にもなったことがありますが、食後の血糖値上昇は大きな問題です。

このために、効くのかどうか知りませんが、トクホや機能性表示食品でも「食後の血糖値上昇を防ぐ」などといって売られているものがたくさんあります。

これには、食物中の糖分(ショ糖、ブドウ糖、果糖など)の存在は大きく関わってきます。

 

食物中の成分として、炭水化物と言われるものがあります。

これは、ブドウ糖グルコース)のような単糖類と呼ばれる分子がさらに結合して高分子となっているものも含んでおり、ショ糖(スクロース)のような二分子からなる二糖類、オリゴ糖とよばれる少糖類、さらにデンプンのような高分子、非消化の食物繊維まで含んでいます。

デンプンなどは完全に分解されれば単糖類になり、それが消化されてエネルギーとなるのですが、それには酵素作用による消化が必要であり、時間もかかります。

 

その点、低分子の単糖類、二糖類は吸収も早くエネルギー化も速やかです。

これが多い食物は、エネルギー総量は変わらないとしても、摂取直後の血糖上昇は早くなると考えられます。

そのために、食事の場合も「野菜を最初に食べましょう」なんという運動も行われているのですが、その野菜が甘すぎたとしたらなんにもなりません。

 

このような「甘い野菜」を食べ、その後に「食後の血糖上昇を抑える」トクホ飲料を飲むなんていうのが、ブラックジョークそのものです。