非常に古い本で、私が買ったのもおそらく1983年なのですが、この本の初版発行は1966年ということです。実に半世紀前。
著者の大坪さんは経営学部出身ですが、メーカー勤務を経てアメリカ留学という経歴で、技術と経営という問題も早くから取り組んでこられたそうです。
1966年といえば前の東京オリンピックの2年後、まだ高度成長真っ只中と言うところでしょう。
私も子供の頃ですので社会の雰囲気といったものはよくわからない時期ですが、それから12年後の自分の就職時期のことを考えても、「事務は事務屋、技術は技術屋」といった傾向が濃厚だったものと思います。
そのような中で、「これからは技術屋も経営学を身につける」というのは新鮮だったのでしょう。
とはいえ、最近のこういった傾向の本と比べると、専門用語でこけおどしということは全く無く、技術屋(それにしても技術屋、事務屋という言い方も時代を感じさせます)はチームワークを考えて、リーダーシップの大切さを認識してくれといった、分かりやすい書き方がされているので、だれにでも取り組みやすい気分にさせてくれるものかもしれません。
まあ、50年前の本の詳細を紹介しても仕方ないので、書評はこれくらいでこれに関する随想に移ります。
この本を買ったのは1983年というのは、実は私が結婚した年です。
技術職として会社に入り5年、結婚していよいよ責任も感じ、それまでの「物を間違いなく作ってりゃ良いだろう」という仕事ぶりではいかんなあという気持ちからこの本を読んでみようと思ったのでしょうか。
それでも本書の教えなどまったく身につけることもなく、技術屋の悪いところそのままで仕事をしてきてしまったようです。
まあ、その後すぐに転勤で会社の研究所に赴任し、そこではほとんど一人きりの仕事となったために、しばらくはチームワークもリーダーシップも関係なくなってしまったというのは言い訳ですが。
それがその後再び工場に転勤し、現場管理者として放り込まれてもあまり上手く部下を使いこなすということもできず、苦労した遠因となっていました。
後悔ばかりの人生かな。