北海道教育大学の宮崎教授が世界史を海の側からまとめなおして記述したものです。
このところの読書傾向として、ローマやヴェネツィアなど、地中海を中心とした交易国家の歴史も見てきたので海からの歴史観というのもある程度は分かっていたこともありますが、イスラム商人のインド洋を中心とした大活躍というのは少し盲点になっていたようです。
とはいえ、海運というものの最初はやはりエジプトと地中海から始まったようで、ナイル川の船運の発展のあとはフェニキア人の地中海交易の確立につながりました。
しかし、モンスーン(季節風)の利用を行ない異なる文明間の交易と言うものを始めたのはインド洋のようです。
インド人の商人が東南アジアまでの交易航路を始めました。
その後、地中海がイスラム教徒のものとなり、インド洋の交易にもイスラム商人が大きく進出しました。はるか中国まで定期的な船便が通うようになりました。イブン・バトゥータやマルコ・ポーロなどはそのような商人の船便に便乗したに過ぎません。
その当時(元時代)には新羅商人というのも活躍したそうです。しかし黄金の島ジパングまではなかなか直接の来訪は難しかったようです。
船の構造の進歩というのも大きなものですが、地中海では櫓でこぐガレー船が進歩していますが、インド洋では帆船が主のようです。距離が格段に長いせいもあるのでしょうか。
その後ヨーロッパに覇権が移り、スペイン・ポルトガルの新世界発見競争に続いてオランダ・イギリスが相次いで制覇しました。最後はアメリカですが。
日本の幕末期にアメリカからペリーの黒船が来襲し、圧力を加え開国させましたが、その時の4隻のうち、蒸気船は2隻のみでしかもそれはアメリカが保有していた4隻のうちの虎の子の2隻だったようです。ずいぶんぎりぎりの戦力で、かなりはったりを利かせたようです。しかし、その後あっというまにアメリカは海運大国となってしまいました。
海から世界の歴史を見直すと言うのは非常に興味深いものでした。