有機フッ素化合物PFASによる環境汚染が大きく問題化され、ニュースを賑わせています。
リスク学者永井孝志さんはそのブログで繰り返しこれらの化合物について書いてきましたが、そのまとめを掲載しました。
nagaitakashi.net自身のブログで書いてきた内容をコンパクトにまとめ、元記事がすぐに参照できるようになっています。
まず「PFAS」ですが、これは PFAS(ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称)です。
この中には膨大な数の化合物(1000種以上)が含まれ、そのリストもまとめられていません。
そもそも最初に有害性が論じられてきたのが、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)でした。
これはそれぞれ単独の化合物の名称です。
これらについて、有害性や発がん性が研究されていますが、まだ決定版と言える報告は無いようです。
それでも一応の基準値というものが制定されています。
ただしそれは「これ以上なら危険」といったものではなく、単なる目安程度でしょう。
したがって、「基準値の何十倍の濃度で検出」などと言うニュースが出てもそれが即危険というものとは言えないはずです。
こういった、「基準値制定の経緯」や「基準値を超えた場合は」といったことについてはこれまでの記事が参考になるはずで、それが例示されています。
問題をややこしくしているのが、とにかくある程度危険性がはっきりしてきたためにPFOA、PFOSは使わないようにし、その代替品としてPFASの中から化合物を選んで使うようになったということです。
そのため、PFASの環境中への拡散が進みました。
なお、現状での問題点として例示されているものが以下の通りです。
PFASをめぐる問題は大きく分けると以下の二つあります:
1)ノンポリマーのPFOS・PFOAとその類似物質は毒性が不明瞭で有害性評価が難しい(基準値の設定が難しい)
2)無害で有用なフッ素樹脂までPFASの仲間に入れられてしまい、対策をややこしくしている
2)の方は報道する側の基本的な知識の不足が影響しているのでしょう。
1)の方は専門家でも意見が分かれるところだと思います。
永井さんの自画自賛の言葉として記されています。
これらの記事をまとめて読むことで、PFASの事例を通して化学物質のリスク評価・リスク管理の基本を一通り学べる内容になっています。
興味のある方、そして報道関係の方々はせめてこれくらいは目を通していただきたいものです。