黒人などの受験生を有利とする選考は違憲とする判断をしたアメリカ連邦最高裁が、続けて学生の奨学金の返済免除をすることとした政府決定を覆しました。
連邦最高裁判事は現在は9名中保守派が6名、リベラルが3名ということなので、保守とリベラルの意見が対立する問題については圧倒的に保守派が有利となっています。
www.spf.orgこのような状況はトランプ政権下でリベラル判事が死亡または引退することが相次ぎ、その補充としてトランプが保守派判事を任命したことが相次いだためです。
上記記事にはその例として、ニューヨーク州の銃規制法を違憲としたこと、人工妊娠中絶の権利を認めてきた1973年のロー対ウェイド判決を覆したこと、さらに環境保護局が石炭火力発電の温室効果ガス排出を規制することができないとしたことを挙げています。
冒頭の最近の判例はそれに続くものでしょう。
このような状況はアメリカの連邦最高裁判事の任命方法によるものと考えられます。
判事は終身で、死亡するか自ら引退するかしない限り交代させられることがないということで、その時期がちょうど共和党政権にあたったのがこの状況を作り出したのでしょう。
裁判まで党派性を強烈に主張する中で行われるということは日本から見れば少し異様な感覚ですが、人事制度を通じてじわじわと統制をする日本政府よりははっきりしていて良いのかもしれません。
現在の判事は皆まだ元気そうですので、当分はこのままさらに流れを変えるような判決が続いていくのでしょう。
そしてさらにアメリカ社会の分断が激しく、大きくなっていく。
どこまで分裂するか、いずれにせよアメリカという国の衰退につながる事態だと言えます。