性犯罪者は再犯リスクが高いとして、そのような犯罪履歴を持つ人を教育現場から遠ざけようという、「日本版DBS」(Disclosure and Barring Service)が取り入れられようとしています。
それについて、リスク学の立場から永井さんが解説をしています。
DBSはイギリスで実施されている犯罪歴確認の制度ということで、日本でもそれにならい禁固刑以上では20年、罰金刑では10年の期間の間閲覧参照できる制度にするということです。
ただし、これに対しては専門家からも効果が疑問とされています。
元の読売新聞記事でも、元検事の前田恒彦さんという方の指摘が掲載されていますが、そもそもほとんどの性犯罪が初犯であること、逮捕されても示談などで起訴猶予となれば記録されないこと、さらに犯行時に少年であれば少年法で開示されないことなど、あまり効果が無いようです。
このように、初犯を防ぐことはできないのですが、そもそも性犯罪は再犯率が高いというイメージがあるようです。
それについても説明されています。
法務省の報告によれば、すべての犯罪で調査された統計では、同じ犯罪の再犯率というものが約15%であるのに対し、強姦の前科歴がある再犯者が6.8%、強制わいせつでは8.1%とそれほど高くはないようです。
ただし、痴漢や盗撮は再犯率が高いようです。
また女子大生に対して実施した意識調査では、様々な犯罪の中でも性犯罪は再犯が多いというイメージを持っていることが分かっています。
性犯罪の再犯率(ここでは刑務所への再入所率です)が実際には17%のところ女子大生たちは43%と見積もっており、実に26%も過大評価していました。
他の犯罪、窃盗・暴行傷害・覚せい剤等のものではこの差が5%以内となっており、ほぼ正確な評価であるのに比べて性犯罪は特に高く見られているようです。
これは特に女子大生は性犯罪の一番の標的ともなり得ることから、恐怖の因子が高くなるということなのでしょう。
さらに、性犯罪歴のある者が県を変えれば教師に採用されるというニュース報道があったこともこういった意識を強める効果になりそうです。
このようなことから、「日本版DBS」というものは、やらないよりはやった方が効果はあるのでしょうが、それで性犯罪の再犯が防げるということも期待薄のようです。