株価の上昇が続き、あのバブル期の最高値に近づいてきたことで、この上昇がバブルかそうではないかといった議論がされているようです。
危険性を指摘する人もいますが、かつてのバブル期の状況といかに違うかということを言いバブルではないという論者も多いようです。
しかしどうもバブルとは何かといった点において人それぞれの意見があり、そこも共通化されていないために議論自体が嚙み合わないということになっています。
これを整理するためにも「そもそも」論をしなければならないのでしょう。
資本主義の構造上での投資とは、資金に余裕がある人が産業界の企業に対して設備投資や運営資金として金を拠出し、それで利益を上げた企業が投資者に対して配当を支払うことでしょう。
これを制度として運用するために株式というものができ、それを買うことで投資をしたことになるという状況になりました。
現在でも株式保有者に対して配当の支払いというものが存在しており、利益を上げた企業が実施しています。
しかしその株式自体を取引するという株式市場というものが発達しました。
そこでは企業の業績で株価が上下するということはありますが、株式配当の金額に比べて株価がはるかに高くなってしまい、株式保有と配当受け取りということの意味が薄れてしまいました。
現在でも「投資は長期で」などと言われていますが、その意味は決して「株の配当を期待する」などと言うものではありません。
せいぜい運用会社をちょこちょこ変えずに持っておきましょうといった程度の意味でしかありません。
それでは株式売買での利益とは何か。
「安く買って高く売る」以外の何物でもありません。
その時になんとなく業績の良さそうな企業の株に人気が集まると株価も高くなり、何か問題を起こすと下がる。
そのタイミングをうまくとらえて下がった時に買って上がった時に売れば儲けが出る。
実際にはタイミングだけでなくインサイダー情報やら株価操作やら、怪しい話も多いようですが。
しかし株価の上下には別の要素があります。
それが「金が集まると株価も上がる」ということです。
日本の株式の総額はその時点である額に決まります。
それに対し株式投資に投じられている金額も決まります。
株式それぞれの価格は当然ながら異なりますが、その平均はある金額に決まります。
その状態に対して新たな資金流入があれば株式投資向けの資金総額も増えます。
すると平均株価もそれだけ上昇するというわけです。
なお、これはその他の市場についても言えることで、「日本の不動産市場全体」にしても同様です。あるいは「ヨーロッパのどこかの国のチューリップ球根取引金額全体」も同じです。
前が不動産バブル、後がチューリップバブルであることは明らかです。
もしも企業の活動とは全く関係のない株価の動きを、金の流入量の増加から見て株式バブルというのならば、現在のような株価上昇は完全なバブルです。
アベノミクスで起こされた株価上昇も、日銀資金や年金基金の投入で起こされたという点で見ればバブルにすぎません。
そして、最後にこのような新たな資金流入によるある市場の価格全体が高騰することをバブルと呼ぶのは、それがやがて「はじける」からに他なりません。
現在の株式バブルも何らかの状況ではじけることは間違いありません。
どうやら、この株価上昇をもたらしているのは、中国市場の低迷を避けて流入してきた外国人(主に中国人)マネーのようです。
彼らの気分次第ですが、さほど長く続くものではないでしょう。
その時に何らかのバブル崩壊が起きるのでしょうが、それが小崩壊になるのか大崩壊になるのか。
そこまでは素人には分かりません。