爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

経済と資本主義、あまり経済学者が言わないようなこと

どうも経済学者と言われる人々の語ることは今一つ心に響くことがなく、今ある世界だけが不動の体制のように言われるものの、それはちょっとしたことで引っくり返るのではとも思えます。

そんなわけで、まったく力不足、知識不足であることは承知のうえで資本主義について書いていきましょう。

 

資本主義の最初は大航海時代に新世界の富を奪いに行く船団に資金を出し、上手く戻ってきて利益が出たらその分け前を貰うというところから始まったようです。

まあ確かに実業といえばそうなんですが、難破などで戻れない危険性も強く博打のようなものでもありました。

 

その後、産業革命で工業生産が大々的になるとその製造設備を備えるために多額の費用が必要となり、それを賄うために出資者を募るということになります。

出資の見返りには利益が出たらそれを分配するということになるのですが、これが株式の始まりでしょう。

これを仮に「産業資本主義」と言っておきます。まあ正式な術語があるのかもしれませんが、それすら知らない素人と言うことでお許しください。

実はこれはごく最近まで続いていたと言えます。

現在でもある程度はその要素が残っているとも言えます。

 

なお、今では壊滅しそうなものですが、「銀行融資」というものもありました。

その原資は銀行に預金していた預金者の財産です。

それを企業に融資しそれを使って運営して利益を出して銀行には決まった利率で返済しました。

見方を変えればこれも「投資」と言えます。

銀行に預金することは「投資」と同じことだったわけで、現在政府自ら旗を振り「貯蓄から投資へ」などと宣伝していますが、株式投資だけが投資ではありません。

それを声を大にして言い続けるというのは、何らかの裏があるはずです。

 

ここまでの産業資本主義では、あくまでも工場生産などの実体経済が利益を出す源泉であり、そこで得られた利益を出資者に分配することで投資のリターンを得ていました。

 

これが大きく変わったのが、マネーゲームなどという言葉が飛び交った頃からですから、バブル時代でしょうか。

株式や不動産がどんどんと値上がりするという状況で、個人ばかりでなく企業も本業を忘れてそれに踊りました。

状況の良い時には本業を上回るような利益を出したのですが、やがてバブル崩壊とともにその夢も一気に潰えてそれで倒産という企業も少なからず出ました。

 

あれは「バブルだから」ということでは終わりませんでした。

金融資本主義という新たな資本主義の段階に進んでしまったと言えます。

 

これを先導したのはどうやら英米系の金融資本だったようです。

金融工学などと言う手を使い訳も分からないままに参入してきた投資家から資金を奪い取るということが一般化しました。

 

こういったことも普通の貨幣とは別のものでやってもらえれば何の弊害もなかったのでしょうが、(たとえば”子供銀行のお金”)それで使われているのも通常の貨幣であるためにそれで儲けた金で実体経済の企業を買収などということもできるため、勘違いした連中がそれを行い、経営もできないためにすぐ売り払うなどと言うことになりました。

 

産業資本主義で経済成長といえば流通する物品の質や量が増加し、少なくとも人々の生活にも影響するものですが、(経済成長ということが善か悪かということはこの際置いておきます)、しかし金融資本主義では単に「貨幣量の増加」でしかなく、それが実体経済に働きかければインフレになることは道理でしょう。

 

株式市場の成長というものも、売買の回数が増えただけでは大きくなりません。

手数料が入る証券会社は儲かるでしょうが、その分は投資家の懐が減るだけで徐々に株式市場の規模は小さくなっていきます。

それが徐々にでも大きくなるためには新規の投資家が増えるか、別のところに行っていた金を株式市場に吸い上げなければなりません。

政府の言っている「貯蓄から投資へ」がまさにこれを狙っているものです。

すでに年金資金を始め多くの国の財政資金を株式市場に投資している政府は株式が値上がりしなければなりません。

そのためにも新たな投資資金を株式市場に吸い上げて名目上だけでも株価を上げたいのでしょう。

しかしいずれははじけるバブルです。

 

とにかく現在でも暴走しかけている金融資本主義を何とかしなければ安定した未来などは来ないでしょう。

その方策が何かあるのか。まったく分かりませんが。

(やっぱり何の結論もでなかった。まあ当たり前だけど)