爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「内田樹の研究室」より「維新的民主主義」

内田樹の研究室」で取り上げられていたのが、大阪の維新についてです。

blog.tatsuru.comある雑誌からの質問で、「大阪で維新はどうしてあれほど支持されているか」とあったのですが、それについて考察しています。

 

大阪の行政状況はひどいということは聞きますが、その数例をあげています。

コロナ禍では大阪は死者数1位でした。

看板政策の大阪都構想は二度否決されました。

公立学校や医療機関は統合を進めどんどんと数を減らしています。

バスの運転手の給与も下げ続け、運転手が減って市営バスの減便、廃止が起きています。

どの事例を見ても大阪では行政サービスの低下が顕著です。

それにも関わらず、選挙になると大阪では維新が圧倒的勝利を収めます。

 

これはなぜか。

内田さんはかつて自分の勤める大学で学生たちの意見を聞きました。

すると、維新を率いる橋下は「すぐ感情的になり非論理的だが」「隣の兄ちゃんみたいで親しみが持てる」から投票すると答えたそうです。

 

かつてアンドリュー・ジャクソン大統領を評したアレクシス・ド・トクヴィルは彼を「粗暴で能力は中程度」としましたが、それでもアメリカ人民は彼を二回大統領に選びました。

アメリカの有権者たちも知性徳性において優れた人を大統領とするのではなく、自分たちと利害が反しないものを選びたがるのだということです。

いくら優れた人間でも民衆と利害が反すればその能力はかえって邪魔になるのでしょう。

 

そういった「トクヴィル的」意味で大阪の有権者たちは「民主主義的」なのだそうです。

そういった大阪がこの後どうなるか、内田さんは深い関心をもって見つめるということです。

 

私たちは「知性徳性で自分たちよりもはるかに低い人間」たちに政治を任せています。

それで日本がどうなるかということすら考えてないようです。

政治を馬鹿にした人間は政治で復讐されるでしょう。

それを止める知恵が必要なんですが。