内田樹さんのブログ「研究室」より「選挙と公約」という話です。
この文章は「週刊金曜日」に寄稿したものということです。
内田さんも自民党政権が行っている政策によって明らかに不利益をもたらされている人々がそれでも自民党に投票し続けているという現象について不思議に思ったということで、考察しています。
内田さんは白井聡さんが「撤退論」の中で紹介した、アメリカのダートマス大学の研究チームが行った日本の政治状況についての考察について引用しています。
自民党が圧勝した選挙についての調査で、自民党の政策自体は決して有権者から支持されているとは言えないということが分かります。
そこで、研究チームは各党の政治公約を「政党名を隠して」あるいは「政党名を記して」有権者に示してその支持率を調査しました。
すると驚くべきことに(私は全然驚きませんが)自民党以外の政党の政策でも「これは自民党の公約だ」と表示すると有権者の支持率が跳ね上がったそうです。
つまり、政党の支持は「公約の内容」によるのではなく、逆に「自民党の政策だ」と示された政策を支持したのだということです。
共産党の政策すら、「自民党のものだ」と表示すると支持率が跳ね上がりました。
つまり有権者たちは政策を支持できるから自民党に投票し続けているのではなく、自民党が勝ち続けているからそこに投票するのが正しいことかのように思いこんでいるということです。
まったく倒錯しきった心理状態でしょう。
しかしこれで驚いていたらロシアや中国の状況はもっと分からないとは書いてあり、内田さんも日本だけとは思っていないようです。
またも、いつもの選挙と同様に落ち込む心理状態になりそうです。