爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「内田樹の研究室」より「人口減少社会の病弊」

内田樹さんの「研究室」で、さるメディアから頼まれて書いた文章を掲載しておくとのことです。

その題名は「人口減少社会の病弊」

こういう題で文章を頼まれたということです。

しかし、内田さんの意見では「人口減少を病弊と見ることは誤り」ということで、これは私も同意見です。

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かつて、内田さんもそして私も若かった頃には人口問題というのは人口の爆発でした。

それが内田さんが大学の教員となった頃、大学側から「18歳人口が急減するので対策を考えろ」と言われ驚いたそうです。

ほんの少し前まで人口増で大変と言っていたのではないかと。

そしてどこの大学も定員増、教職員増、財政規模増を実施していました。

人口動態調査を見れば少し後には18歳が減るのは誰でも簡単に分かるのに。

結局はどこの大学経営者も「その時のことしか考えない」からだったということです。

 

それがようやく実際に人口が減りだしてからようやく大変だ大変だと言い出す。

とはいえ、世界的に見ればまだまだ人口増が大問題です。

アフリカを中心としてまだ人口が増加しており、世界で100億くらいまでは達するようです。

 

しかし日本が人口減少に向かっていくのは間違いないことであり毎年83万人ずつ減っていくとか。

このような人口減少社会に対し取り得るシナリオは2種だけ。

資源の地方分散か資源の都市集中か。

 

実は地方分散のシナリオは江戸時代に取られそれなりの成功を収めました。

しかし都市集中シナリオはまだうまく行くかどうか分からない。

そのような危険なことをすべきかどうか。

ところが政官財の輩の間では都市集中がすでに既定方針になっている。

粛々と「都市集中」と「地方消滅」の推進をしながらも、その事実を隠しながら進めている。

それが資本主義の原則に従っているからだそうです。

地方分散でひっそりと生きるようなやり方をやっても利潤が上がらない。それと比べれば都市集中で経済成長を確保すれば資本主義の延命につながるからです。

このような都市集中シナリオはすでに韓国で進行中です。

韓国では日本よりさらに徹底的に行われています。

しかもそれでどうなるかも考えずに行われているのも日本同様でしょう。

このような都市集中は「シンガポール化」といも言えるようです。

都市集中、経済成長、圧政というのがその本質です。

 

もしも「人口減少社会の病弊」というものがあるとするなら、それは

人口減社会の病弊とは、人口減社会について、国民全体が(政官財の指導者も、国民も)一様に思考停止に陥っているという事実のことであり、それ以外にはない。

というのが内田さんの結論でした。

 

多くの点で同じ意見ですが、私の基本的意見では「脱エネルギー社会」への転換ということが最重要であり、そこでは「完全分散化社会」しか生き残れません。

全国に50万人単位の地域社会を分散させることということを考えていましたので、そのビジョンは一緒なのかも。