爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

安倍政治の功罪(功なんてあるかどうかは知りませんが)

安倍国葬をめぐっては反対運動も大きく盛り上がったようですが、一方ではその実施を擁護する言説も飛び交いました。

まるで日本中が「国葬反対派」と「賛成派」に大きく分断されてしまったかのようです。

これは安倍政治によって得をした(少なくともそう思わせられた)連中と、損をした(なおかつ日本の国にとっても大損であることを認識している)人々との間には大きな認識の違いがあるということなのでしょう。

 

まあ、中には政府や報道の言う通りに「長い間首相の座で頑張った」だの「外交に成果を挙げた」だのを信じ込んでいる幸せな連中(もちろん反語です)も数多く、テレビの報道の街頭インタビューではそういった返答ばかり(たぶん選ばれて)流されていました。

 

一方、反対する人々の意見としては「国葬に至った手続きが法を無視している」とか「民主的な手続きをしていない」さらには「モリカケサクラの検証もできていない」といったものが多いのでは。

それも確かに大きな問題ではありますが、安倍の罪はそんなものではありません。

 

それを振り返ってみたいと思います。

 

民主党政治の混乱、さらには東日本大震災福島原発事故という、天災と自民党政治の過誤による災害に見舞われて二進も三進も行かなくなった民主党から自民党が政権を取り戻すのは間違いないと見られたところで、自民党総裁に復帰し、選挙で圧勝して政権を取り戻した安倍は様々な施策を始めました。

 

まず取り組んだのがアベノミクスという経済政策でした。

3本の矢などと言っていましたが、結局実体経済にはほとんどプラスにならなかったのでしょう。

しかし異次元緩和と称する資金の供給を行います。

さらに国民の年金原資などをも株式市場に注ぎ込むという手で株式価格のつり上げを図ります。

それ以外にも何らかの手を使ったのでしょうが、為替は円安に進み、一部の輸出大企業のみが潤うことになります。

円安誘導政策というものがアメリカの黙認なしにはできないでしょうから、何らかの取引があったのでしょう。

とはいえ、この大きな経済政策転換で国民のごく一部にしか過ぎない投資家や大企業関係のみが潤い、そこへの富の移動が起きました。

それがあたかも、国の方向性に新たな動きを生み出したかのような幻想を振りまき、実際には何の利益も受けていない人々(特に若年層)にも「何か変えてくれそうだ」という意識を植え付けることに成功しました。

 

これで政権基盤を強化した安倍は、おそらく円安政策の黙認の代償としてアメリカに対して大幅な軍事協力増強を開始します。

安保関連の法整備に加えて、大量にアメリカ製兵器の購入を決めていきます。

これにはおそらく(おそらくばかりですみません、しかし公式には認めるはずもありません)緊張を高めるために北朝鮮や中国を刺激するというアメリカの策略も数多く実施されていたのでしょう。

それによる世論の是認を追い風にやりたいことをどんどんとやっていくこととなります。

 

こういった国を損なう暴挙をやっていったにもかかわらず、有権者の支持は揺るぎもしなかったことから、次第に政権の道徳性もどんどんと失われ、モリカケサクラと称される事件を次々と起こしていきます。

もちろんある程度の証拠があって明るみに出たのがこれたの事件ですから、これ以外にも無数と思われるものが隠れているのでしょう。

いずれも政策を曲げて自らの支援者や友人たちに利益を流し込もうというもので、国民の財産の私有化と言わざるを得ません。

これはコロナ禍にあっても同様で、さまざまな対策と称してお友達企業にどんどんと金が流れ込むような構造にされていたのも明らかです。

 

ただし、このような国家財政からの窃取というものは確かに大きな罪悪ではありますが、それよりもはるかに大きい罪悪は上に書いた目玉政策、アベノミクスと安全保障であるということは忘れてはいけません。

窃取した金額はいくらひどい行為だといっても数百億、数千億でしょうが、国家財政を揺るがすようなことで失われたかもしれない金額は桁違いの数十兆、数百兆にも及ぶかもしれません。

このような国を滅ぼしかねない行為をした人間を国葬で送るというのが現在の政府です。

もしも数十年、数百年先にもまだ日本という国が残っているなら、その時の歴史学者、経済学者は今の社会をどのように評するでしょうか。