爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「〈危機〉の正体」佐藤優、富岡幸一郎著

佐藤さんは言わずと知れた元外交官で政争に巻き込まれ投獄された後現在は著述家、評論家として大活躍されています。

富岡さんはあまり存じ上げなかったのですが、文芸批評家で保守派論客として活躍されているそうです。

しかし、お二人にはそれ以上に重要な共通点があり、「どちらもキリスト教プロテスタント神学者である」ということなのです。

 

このお二人が様々な世界の危機というテーマを語っていくというのが本書の構成となっています。

私は宗教的な発想というものは持ち合わせず、聞いた話でしかないので本書の中で対談の二人が共通認識としているものが実感できず、やや不可解に感じることも多かったのですが、まあそれは仕方のないことでしょう。

 

対談の話題は広々とした世界のあちこちを飛び回るようなもので、さらにそこにあまり聞いたことのない思想家の思考が飛び込んでくるので、理解しているかどうかもよく分からないと言ったことになってしまいます。

それでも、同時多発テロや暴走する情報空間、資本主義の暴走、日本の国家の本質としての「国体」、格差社会と話が進んで行けば、何となくですがどこが本当の「危機」かということもぼんやりと見えてくるようにも感じます。

 

そんなわけで、内容のポイント紹介すら難しいのですが一点だけ。

第二次大戦後も日本の国体を守るということが天皇や政府上層の関心事であり、それ以外のことはほとんど気にもしていなかったというのが本当のようです。

アメリカ側もそれを利用して日本の占領を有利に進めました。

マッカーサーは日本のキリスト教化ということにも関心があったのですが、そこで重要なのがICU国際基督教大学だったのです。

この設立にはアメリカ側からも多くの募金が寄せられたのですが、その最高責任者はマッカーサーでした。

そして日本側の責任者は実は高松宮だったそうです。

つまりICUマッカーサー高松宮によって作られた学校だったのです。

この学校に皇室関係者が入学するのを疑問視する人も居ましたが、戦後国体からすれば当たり前の話だということでした。