著者の名前やその本の存在自体は分かっていても、ほとんどの人が読んだことがないという本があります。
人類の精神史上、重要な存在であることは分かるのですが、その内容は難解で素人には歯が立たないというものです。
この本はそういった「難解な本」をごくごくコンパクトにまとめたものですが、それでもその解説を見てもほとんど分からないというものが多いようです。
この本を書いた富増さんという方は、予備校で歴史や倫理などを教えているということですが、大学では哲学科、その後神学科で学んだという、哲学や宗教について詳しいということで、おそらくここで紹介されている難解本も原典を読まれているということでしょう。
扱われているものは、宗教、哲学、政治、経済などの歴史的なキーともなるような本で、現在のそれぞれの分野はそれらの存在の元に発展してきているようなものなのですが、とはいえ、誰でもそれらの原典を読むことは難しく、またそれを読む必要もたいていの場合は無いと言っても良いでしょう。
それでも、ちらっとその雰囲気だけでも覗いてみる程度のことはしてみても良いのかもしれません。
60冊の本が紹介されていますが、そのいくつかを「題名だけ」でも並べてみましょう。
プラトン「ソクラテスの弁明」、アリストテレス「形而上学」、「般若心経」
ベーコン「ノブム・オルガヌム」、カント「実践理性批判」、ヘーゲル「歴史哲学講義」
キルケゴール「死に至る病」、ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」、ハイデガー「存在と時間」
ホッブス「リヴァイアサン」、マキャベリ「君主論」、ルソー「社会契約論」
ほら、何となく名前だけは聞いたことがあるでしょう。
ちなみに、私はこの本で紹介されている本の中で読んだことがあったのが「君主論」と「21世紀の資本」だけでした。