新型コロナウイルスの制圧に向けて各国でワクチンと治療薬の開発が全力で進められていますが、そのワクチン開発の可能性について気になる指摘がされています。
獣医師でもある星良孝さんという方が書かれている記事が公開されていました。
コロナウイルスにも様々な種類があり、動物に病気を引き起こすものも多く知られています。
そして、治療用にワクチンが作られているものもあるのですが、豚や犬に病気を起こすコロナウイルス用のワクチンは作られているのですが、猫のコロナウイルスにはワクチンができないそうです。
新型コロナウイルスには現在100種以上のワクチン開発が進められていますが、それには大きく分けて2種類があります。
ウイルスそのものを無毒化して使う「生ワクチン」と、ウイルスの構成成分や毒素などを分離して使う「不活化ワクチン」です。
豚や犬のコロナウイルスに対するワクチンは、生も不活化もあるようですが、いずれも接種することにより十分な抗体を作り出し免疫力を上げる作用をし、ウイルスを抑える働きをします。
しかし、猫に感染するコロナウイルスにはワクチンができないということです。
これは、そのウイルスの性質によります。
免疫との関係が独特であることが知られている。「抗体介在性感染増強(ADE)」と呼ばれる現象によって、猫の持つ免疫の機能が感染症をより悪化させてしまうのだ。ADEと呼ばれる現象はコロナウイルスのほか、人の免疫不全ウイルス(HIV)などでも起こることが知られている。HIVのワクチン開発が難しい一因だ。
抗体を作ってもそれがウイルスを抑えるのではなく症状をより悪化させてしまうからだそうです。
これは、人間のHIVウイルスでも起こることで、このためにワクチン開発が遅れています。
またSARSウイルスもこのような作用があるということですが、どうやら今回の新型コロナウイルスはSARSウイルスに類似しているのではないかと言われており、同様の傾向を示す可能性があるようです。
そうなれば、ワクチン開発もやりづらくなるかもしれません。
自然免疫の獲得も怪しく、ワクチン開発も間に合わなければそうとう手ごわい相手ではあるようです。