ウイルスや細菌の感染症に対し、感染して回復した人は免疫を獲得することが知られています。
それに倣って開発されてきたのがワクチンです。
水ぼうそうや風疹には一度罹って回復すれば一生免疫によって守られることが判っていますが、一方インフルエンザなどは毎年同じように感染することもあります。
今度の新型コロナウイルスではどうなのか。
感染症専門家の忽那賢志さんが世界で行われている研究の結果をまとめてくれました。
どうやら風疹などとは全く異なる結果が出ているようです。
新型コロナウイルスに一度感染して回復したものの、再び感染してしまうという例が頻出しています。
これが、変異型が発生して免疫が効かなくなっているというのなら分かりますが、そういった変異型の株でなく元のウイルスに再感染しているようです。
つまり、感染による自然免疫はそれほど強くないか、短期間で消えてしまうということのようです。
デンマークで実施された研究結果がわかりやすい表とともに解説されていますが、感染した場合の自然免疫の場合、症状の軽重によって差があるようで、軽症者の場合は免疫の持続期間も短いようです。
人によっては短期間で免疫が消えてしまい、同じウイルスに再感染することがあります。
一方、mRNA ワクチン(ファイザーなど)の場合はそれより長期にわたり免疫が持続し、感染防御に効果があるようです。
フランスでも研究結果でも同様で、ワクチンによる免疫獲得は感染による自然免疫より強いということです。
この結果、感染し回復した人でもワクチンを接種した方が良いと推奨されています。
風疹などの経験を活かそうと、自然免疫獲得政策を取ろうとしたスウェーデンなどは失敗しました。
このような、ウイルスの性質によるものだったのでしょう。
なお、これがファイザーやモデルナなどのmRNAワクチンに限った性質なのか、アストラゼネカなどの別タイプのワクチンでも同様なのか、さらに日本の会社でも研究されている不活化ワクチンはどうなのか。
まだ色々と問題となるところが出てくるでしょう。
ウイルスに早く感染して免疫を獲得してしまおうという、「コロナパーティー」なるものが開かれていたところもあったようですが、罹っただけ大損ということでしょう。