感染症専門医で国際感染症センターの忽那賢志さんが定期的にコロナウイルスについて書かれており、非常に参考になりますが、今回の記事は「コロナウイルスに対する抗体産生は弱く、徐々に消えてしまう」というものです。
ウイルスの感染に対して生物体内では抗体というものができ、それが対象ウイルスのさらなる感染を防ぐということが言われています。
「一度罹れば二度と罹らない」という病気の存在や、ワクチン接種で抗体を作らせて感染を防ぐということも、これを根拠としています。
ただし、忽那さんが例を挙げているように、この抗体の作用というものは目的病原体によってかなり差があります。
麻疹(はしか)などは一度抗体ができると生涯持続しますし、梅毒などは何度でも感染します。
今回の新型コロナがどういう動向を示すのか、それが世界各国の研究で徐々に明らかになっているようです。
コロナウイルス感染者の体内で抗体がどうなっていくのか、研究例が報告されていますが、どうやらかなり早い速度で減少していくようです。
ブラジルでの研究例では、人口当たりの抗体陽性率が下がっているというものもあり、中国でも感染者の抗体の量が数か月で減少し、さらに実際の抗ウイルス活性である「中和活性」も減衰していうという報告が出ています。
さらに、コロナウイルス感染の後完全にウイルスが排除された人に対する「再感染」も多数報告されています。
これは感染して症状がなくなっても体内にウイルスが残ってそれが再燃するというのではなく、改めて再感染するもののようです。
インドの例では再感染した場合に二度目の方が重症化するというものもあり、「二度目は軽い」という他の感染症の事例とは異なる結果があるようです。
このように、この新型コロナウイルスは簡単に「みんなに免疫ができれば終息」というわけには行かないようです。
これでスウェーデン方式?の「放っておいて集団免疫」は全く成り立たないということになります。
また、他の世界各国の「都市封鎖でウイルス消滅を待つ」のも困難ということになります。
さらに、「ワクチン頼み」もワクチンでできる抗体というものがウイルス本体への抗体とは違う可能性もありますが、それほど期待もできないということになります。
忽那さんも最後に「新型コロナはいつどうなれば終息か」を見極めるのは困難としています。
ワクチンができても一度接種すればもう大丈夫ということにはならないかもしれません。
一年に一度、あるいは二度三度ワクチンを繰り返し接種していくといったことになるのかもしれません。