爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「江戸時代の数学最前線」小川東、森本光生著

江戸時代に発達した「和算」という日本独自の数学は非常に高いレベルであったという話だけは有名ですが、その内容まではなかなか知られていないのではないでしょうか。

 

江戸時代も初期の関孝和は、和算における高等数学研究の先駆けとなった人ですが、高次連立代数方程式の解法のために未知数を消去するという方法を考えつき、行列式というものに到達しました。

それを、「解伏題之法」という著書に著したのが1683年のことで、ドイツのライプニッツ行列式を初めて考案したのに10年先立つものでした。

 

それは両者ともまったく交流もない中で、ライプニッツギリシャ数学以来の伝統の中で、関は中国古代からの数学から伝わった和算の伝統の中で編み出したものでした。

 

本書では、現代数学の方法での行列式についての解説から入り、徐々に高度な解法についての説明をし、最後に関の連立代数方程式解法の理論を説明されています。

 

初心者でも(やる気のある人には)理解できるようになっているとのことです。

 

代数学の書き方で説明されている部分も相当に高等なものですが、いくつか示されている関孝和の「大成算経」「発微算法」といった著書のページの漢字ばかりの記述をみて、これがどこと一緒なのかはさっぱり分かりません。

 

まあ、関孝和は相当偉かった人なんだろうということは分かりました。

 

江戸時代の数学最前線 ~和算から見た行列式~ (知の扉)

江戸時代の数学最前線 ~和算から見た行列式~ (知の扉)