江戸時代に発達した「和算」という日本独自の数学は非常に高いレベルであったという話だけは有名ですが、その内容まではなかなか知られていないのではないでしょうか。
江戸時代も初期の関孝和は、和算における高等数学研究の先駆けとなった人ですが、高次連立代数方程式の解法のために未知数を消去するという方法を考えつき、行列式というものに到達しました。
それを、「解伏題之法」という著書に著したのが1683年のことで、ドイツのライプニッツが行列式を初めて考案したのに10年先立つものでした。
それは両者ともまったく交流もない中で、ライプニッツはギリシャ数学以来の伝統の中で、関は中国古代からの数学から伝わった和算の伝統の中で編み出したものでした。
本書では、現代数学の方法での行列式についての解説から入り、徐々に高度な解法についての説明をし、最後に関の連立代数方程式解法の理論を説明されています。
初心者でも(やる気のある人には)理解できるようになっているとのことです。
現代数学の書き方で説明されている部分も相当に高等なものですが、いくつか示されている関孝和の「大成算経」「発微算法」といった著書のページの漢字ばかりの記述をみて、これがどこと一緒なのかはさっぱり分かりません。
まあ、関孝和は相当偉かった人なんだろうということは分かりました。