内田樹さんのブログ「内田樹の研究室」の最新記事は、「内閣についての、韓国紙からのインタビュー」と題されたものです。
内田さんは最近も韓国で相次いで著書を出版しているためか、日本の国情について韓国メディアからコメントを求められることが多いようです。
今回、韓国のTBSという放送局のキム記者から尋ねられた問は「内閣改造、とくに小泉進次郎の環境相入閣について」というものでした。
このところの日本メディアの関心事は韓国の新法相のスキャンダルばかりのようですが、それよりは建設的な姿勢のようです。
内閣改造自体については、相変わらずの「滞貨一掃内閣」、留任がほとんどなく大部分が新人というひどいものでした。
内田さんは、これも「入閣希望組」からの「忠誠心の査定」による選抜であることを党内に示すことが目的と看破しています。
次は小泉進次郎に関してです。
韓国のキム記者は非常に的確に次の質問をしています。
次期首相に適した人物としては小泉進次郎が挙げられています。なぜ小泉さんが人気があると思いますか? 私はまだ彼の能力が発揮された分野がないと思います。
私もそう思います。
これに対して、内田さんの回答は、
かたくなに自説を曲げないとか、人の話の腰を折るとか、異論を完膚なきまでに論破する・・・とかいうことを決してしないタイプの政治家です。こういう「場の親密性を優先し、もめごとを嫌い、誰の意見に対してもにこやかに応接する」というのは、実は日本の古い村落共同体における大人のふるまいに通じています。
と、意外なものでした。
父親の政治姿勢と似たような雰囲気を感じたものですから、そういったタイプであるという先入観を持っていましたが、かなり違うようです。
「その場調整型」の政治家なのでしょうか。
しかし、福島原発に関して、小泉進次郎は脱原発を示唆したということです。
これも、内田さんは内閣に入っている限りは質問されると「顔を暗くして”難しい問題です”と答えるだけだろう」と予測しています。
おそらくそうでしょう。
最後に、安倍内閣執念の「改憲」についても聞いていますが、さすがに内田さんは簡単には答えられないので著書を読んでくれと突き放しています。
しかし、一応その後にまとめの文章を追加しています。
韓国人から見ると、改憲というのは対米自立のように見え、言われているような対米従属の姿勢を強める政権とは矛盾しているように感じられるのでしょう。
しかし、改憲といってもその実態は対米自立とは正反対、単に自衛隊をアメリカの自由に使えるようにするためだけのものですので、まったく矛盾はしていません。
まあ、安倍政権の性質をはっきりと示した内閣改造だったということでしょう。
それをなぜか喜んで支持率を上げている国民が居ます。