著者の弓木さんは気象予報士で、NHKのテレビにも出演されたことがあるそうで、見覚えのあるお顔です。
日本列島は気象災害が特に多いところなのでしょうが、特に近年は増加しているようにも感じます。
多くの人が犠牲になっていますが、適切な行動をとれば生命は助かったかもということが多いようです。
その際に、昔から言い伝えられている「気象災害に関することわざ」というものを思い出していれば、判断の助けになるかもしれません。
昔のことわざの中には、今では根拠なしと考えられるようなものもありますが、多くは現代の科学から見ても妥当なものであるようです。
特に、山崩れが起きる場合の予兆というものは生命の危険を避けられるかどうかの分かれ道となるようです。
例えば、長野県南木曽町のことわざに「蛇抜の前にはきな臭い臭いがする」というものがあるそうです。
蛇抜けというのは、その地方の言葉で大きな山崩れや土石流のことを言います。
最近では2014年7月の台風の際に起きました。
そのような場合には徐々に山が崩れだすことにより、木が裂けたり倒れたりすることで臭いが発生することがあり、そうなると一気に崩れだすこともあるようです。
岐阜県の、3つの大河が重なる地方では「四刻・八刻・十二刻」という言葉があり、揖斐川では8時間、長良川で16時間、木曽川で24時間で洪水になるということです。
大きな川ではかなり時間が経ってから洪水の被害が出るということを忘れないようにしています。
弓木さんは、テレビで気象予報を担当した後に移動して、現在はラジオ番組に出演しているそうです。
ラジオの天気予報はテレビのものとは異なり、言葉だけで伝えなければならないので少し違った工夫が必要となるそうです。
例えば、テレビなら図を示して「この辺」ですむところも、具体的に何々区は大雨と言わなければ分かりません。
他にもできるだけ具体的な表現が求められるそうです。
津波の襲来は、地震の震源地との距離だけでは決められないものがあるようで、東日本大震災のときは60分後だったからと言って次の津波もそうとは限らないようです。
そこで、「津波と聞いたら、欲を捨てて逃げろ」ということが大事になります。
金や大切なものなどを取り出す時間の間にも津波が近づいているかもしれません。
非常用に用意してあるものだけを掴んですぐに避難することが必要です。
気象災害はいつ襲いかかるか分かりません。心の中にとどめておきたいものです。