爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「世界一深い 100のQ」ロジェ・ゲスネリ、ジャン=ルイ・ボバン他著

色々な質問を並べてそれに答えるという本は時々見かけますが、その多くはどうでもいいようなネタや薀蓄といったものを扱う気楽な読み物です。

しかし、この本は科学の難問を次々と並べ、それに科学者たちが答えるという本格的なものです。

ただし、フランスの科学者がフランス語で書いたものであり、日本人の科学に対して抱く疑問点とは若干違いがあるのかもしれません。

 

扱う分野は多岐にわたりますが、多くは自然科学分野のようです。

並べ方もランダムを意識したのか、前後の質問につながりはないようです。

 

第1問は「声帯移植はいつ可能になるのか」で、医者のジェラルド・ファン氏が「すでにある患者に実施されて良好な成績を収めた」と答えており、

第2問の「先史時代の人類は何を考えていたのか」という質問とはまったく関連はありませんが、なんとなくつながっているかのようにも思えます。

なお、この質問に古生物学者のジェラルド・ファンさんは「10万年前の現生人類になった時に大きく変わった」と答えています。

 

「生物の種とは現実か、それとも机上の空論か」というのは面白い問題です。

有性生殖をする生物では、生殖できる集団を種とするということになっています。

しかし、別種とされている生物の間でも雑種を作ることができる場合も多く、それは最初の前提を崩しています。

まあ、机上の空論とまではいかないのでしょうが、生物の差というものは連続的に変化しているので、どこを境にするかという問題なのでしょう。

 

「治療にはリスクがあるのか」

医学研究者のローラン・ドゥゴスさんは明確に答えています。「ある」

そして、その中でも薬剤耐性菌による院内感染は病院の中でもリスクをかなり上昇させています。

ヨーロッパでは産後の退院が非常に早いということは知っていましたが、それもこの院内感染対策であったようです。

その他の病気の場合でもできるだけ入院期間を短くする対策が取られています。

 

非常に高度な内容を短い解答で答えていますので、専門外の人はなかなか分かりにくいかもしれません。

そうすると、この本の対象読者というのは誰なんでしょう。

 

世界一深い100のQ いかなる状況でも本質をつかむ思考力養成講座

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