爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「5年後の日本と世界」田中直毅・国際公共政策研究センター著

田中直毅さんは政治経済評論家ですが、2007年に国際公共政策研究センターというシンクタンクの設立直後に理事長となったそうです。そのメンバーとの共著と言う形で2010年に出版されたのがこの本で、「5年後の日本と世界」という極めて短いスパンでの未来予測ですので非常に難しいものであると感じます。
それをほぼ目標期間が終わろうとする4年目の今、読んでいると当たっているもの、当たらないもの、まだ変わっていないもの、これから正念場のものといろいろあるようです。

2010年というとまだ東日本大震災も起こる前で、民主党政権が成立した直後かと思います。それから4年ほどで社会の大変動が起こっているようですが、意外に変わらない部分も多いようにも思います。
まあ、私自身も当時は会社勤めだったものが現在は退職しているという違いも大きいのですが。

中国がさらに巨大化し、華夷思想が復活すると言うのは正に大当たりかもしれません。4年前にはそのような兆しも無かったと言うこと自体が今となっては嘘のようにも思えます。
「挑戦持続国」か「新興衰退国」かの岐路に立たされるというのも当たりかけているようです。デフレスパイラルからの脱出を目指したと言うのが実は衰退の引き金かもしれません。
オバマはまだ再選できるかどうか不明だったわけですが、めでたく再選は成し遂げました。しかしその指導力は急激に落下しているようです。再選のために失業率改善に力を入れざるを得ないという指摘のとおり、失業率は大幅に改善されたにも関わらず、ということですが。
石油需要が頭打ちになって産油国新興国とを含めた力関係が変わってくると言う見通しはやや違ってきたようです。福島原発の事故が影響があったかもしれません。
アメリカの一極支配が揺らぐというのはその通りだったようです。

すぐに答の見える5年後の予測というのはシンクタンクとしては挑戦的な課題だったかもしれませんが、見通しの力はかなり持っていると言えるかもしれません。