爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「奇貨居くべし 火雲篇」宮城谷昌光著

呂不韋の話の第2巻です。
和氏の璧を秦から持ち帰る途中、病気になった不韋は藺相如の領地で療養しますが、そこを秦の軍に襲撃され捕まり奴隷とされて秦の町の工事に使役されます。
なんとそこの奴隷仲間に荀子がいて、その教えを受けるのですが、その後軍隊に徴用され楚の国へ行く途中襲撃され逃げ出します。
そこに以前知り合った春申君と出会い、その助けで趙に向かう途中に唐挙と出会いという波乱万丈ぶりです。

唐挙は著者の他の小説にも良く出てきますが、戦国時代末期に現れた人相見の天才という人で数々の超人的な予言をしたそうですが、この本のなかでも不韋がやがて宰相になるということを予言します。
唐挙のもとにしばらく滞在したのち、その使いとして訪れた先でなんと80歳を過ぎた年頃の孟嘗君田文と知り合い、認められて賓客として迎えられることになります。

戦国時代の有名人が頻出してきますが、呂不韋という人物については奇貨おくべしの挿話と呂氏春秋をまとめたということしか知らなかったのであまりイメージがわかなかったのですが、これまでの大商人で上手い具合に秦の王子を取り込んで偉くなったという感覚とは違う人物の描写になっています。