呂不韋の物語第3巻です。
孟嘗君田文の客となった呂不韋ですが、薛を離れ田文の縁者が半独立で農業を行っているところへ行き、その指導者の農業に対する能力を知ることになります。
しかし、ちょうどそのとき田文が世を去ってしまい、その息子たちが争う事態になります。そこへ薛の独立を快く思わなかった斉の国と魏が介入し、一気に薛を滅ぼしてしまいます。
呂不韋の滞在していたところにも魏の軍隊がやってきて虐殺を繰り広げますが、その住民たちを救うために農業を重視する秦の力を借りることになります。
和氏の壁の事件の時には見事鼻を明かした宰相の魏冄(ぎぜん)のもとに飛び込むことになります。
ちょうど魏冄も陶の町を自分のものとして開発にとりかかるところだったので、利害が一致し亡命者を受け入れ農事を任せることになります。さらに水利工事で後世にも名の残る鄭国も呂不韋が秦に紹介するということになっています。
そしてようやく大商人として独立を目指すことになります。
それにしてもたいていの資料には呂不韋は悪徳商人から秦の王に取り入って宰相まで上り詰めたものとして良く書かれているもはありません。呂氏春秋を編纂したことも金持の道楽程度にしか扱われていませんが、宮城谷さんの解釈は全く異なるものです。