爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「スローフードな日本」島村菜津著

日本にスローフードを初めて紹介したといわれる島村さんの著書です。
スローフード運動自体は伝統的な食材、料理を守っていくという趣旨だと思いますが、この本で見る限りでは有機農業や環境保全などへの思い入れが強く、食糧をめぐる環境全体への働きかけが強いようです。

そのためかもしれせんが、慣行農業や食品産業へ対する批判が強く、また広く流布しているちょっと強引な産業批判もそのまま受け入れているようです。

たとえば、西日本新聞の問題連載の”食卓の向こう側”でコンビ二弁当が養豚での奇形惹起云々という怪しい話をそのまま信じ込んでいたり、かの有名な安部司の食品添加物話を紹介していたりと、その部分だけでもうんざりする程度ですが。

また、遺伝子組み換え植物に対してもいろいろと非難をしていますが、その根拠がどうもはっきりせず、せいぜい影響が完全には解明されていないということだけのようですが、それに対して現状不安の紹介が延々と続くなど、「嫌だから嫌」と言っているだけのようです。

豆腐が美味しくないという話も、にがりからグルコノデルタラクトンに凝固剤を変更したのが最大に要因であるということは文中に紹介してあるにも関わらず、味は国産大豆が良いという風に強弁するのはなぜでしょうか。

このような味の評価について、なかなかきちんとした手法が取られていないようです。まともな試験対照を置くということすらできておらず、盲験法という意味も分からず、絶対評価でそのまま出して美味しいだろうというだけでは何もいえないということを考えてほしいと思いますが。言っても無駄か。