農水省が「有機農業推進方針」を発表しましたが、それについて食品ジャーナリストの松永和紀さんが、あまりにも杜撰と批判しています。
「みどりの食料システム計画」と名付けられた案ですが、「食の安全」にはまったく見当された気配も感じられないということです。
これはEUが2020年に定めた有機農業推進策を参考に作ったもののようです。
「EUは、2030年までの化学農薬50%削減、肥料の20%削減、有機農業面積25%以上という目標を掲げて」
これに対して農水省の出したプランは、「2050年までに、化学農薬の使用量を50%低減/化学肥料の使用量を30%低減/耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大」と削減目標の数値はほとんど一緒、ただし目標に達するまでの期間が20年先になっているだけです。(それも情けない)
有機農業については、日本では「有機JAS認証」という制度があります。
2018年にその認証を取った農地は全体の0.3%しかないそうです。
それを2050年というかなり先ではあるものの、25%まで増やそうということです。
具体策は何もないようで、「2040年までに次世代有機農業技術の確立」などといった空疎な言葉が並んでいます。
さらに、松永さんが指摘しているのは、このような技術的裏付けのないことを無理押ししようとすると、「カビ毒」の蔓延など思わぬ副作用が出るということです。
農薬を散布しなければ良いことばかりと思いがちですが、実はそれで有毒物質を作るカビが繁茂する危険性も非常に高くなります。
特に日本のような高温多湿の環境ではこの危険性は乾燥地帯と比べかなり高いものです。
アフラトキシンというカビ毒成分については名前くらいは聞いたことがあるかもしれませんが、他にも多くのカビ毒がありその蔓延に伴う食品への毒性物質混入は無視できない影響が出るかもしれません。
数字合わせのポーズのみの政策など、やっている暇があるのでしょうか。