爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

FOOCOM.NET専門家コラムより、近田康二さんの「エコフィードとブランド肉」

久しぶりのFOOCOM.NETからの引用です。

食肉メーカーなどの経験を経て畜産ライターをされている近田さんが書かれている「知っておきたい食肉の話」のシリーズで、今回は「エコフィードとブランド肉」という題名です。

 

www.foocom.net

日本の食料自給率が低いというのは有名な話ですが(それを一所懸命宣伝している方もいらっしゃるようで)これを大幅に下げている要因の一つが、畜産飼料用の穀物輸入、つまり養豚や養鶏用にトウモロコシや大豆を大量に輸入しているということです。

 

一方で、食品工業で製造時に出る廃棄物や、食品メーカーの売れ残り、小売や飲食業での残飯といったものを捨てるだけではもったいないということは言われています。

 

それを家畜飼料用に利用できないかというのが「エコフィード」ということです。

 

かつては残飯を与えた家畜の肉は臭みがあったりして品質が低いというイメージでしたが、最近は「オリーブ牛」や「甲州ワインビーフ」など、エコフィードを逆に売り物にしたブランド肉も出現しているということです。

 

近田さんの記事には非常に詳しく書かれていますが、エコフィードの品質を上げるために官民で相当な努力がされているようです。

 

エコフィードの原料となるものはさまざまで大まかに食品製造副産物、余剰食品、調理残渣、農場残渣に分類される。食品製造副産物としては昔から飼料として利用されている米ぬか、フスマ、大豆粕、ビール粕、豆腐粕(おから)に加えて、最近では酒粕、焼酎粕、醤油粕、果汁粕、パンの耳等、無洗米のとぎ汁、コンタミ(製造ラインの切り替え時に排出されるもの)など食品の製造過程で得られる副産物やカット野菜・フルーツのくずなどがある。

ただし、飼料にするためには動物性タンパク質の混入を防ぐという問題があり、飲食店の残飯や弁当などの売れ残りは分別が難しく使用が難しいものです。

 

また、ある程度まとまった数量が継続して供給できなければ使いづらく、恵方巻きの売れ残りのようにほんの一時だけ出てくるものは難しいでしょう。

 

そのため、ほとんどが食品製造副産物で昔から使われていたものや、それに類するものが多いようです。

食品産業(製造業、卸売業、小売業、外食産業)から発生する食品廃棄物の発生量は平成28年度で1970万トン。このうち畜産で利用しやすい食品製造業からは1617万トンで、この76%に当たる997万トンが飼料化されている。

 とはいえ、上記のようにすでにかなりの量が飼料化を進められているようです。

 

しかし、まだ飼料用トウモロコシの輸入量が1200万トン、一方飼料化が難しいとされている事業系廃棄部は400万トンとか。まだまだ工夫の必要なところなのでしょう。

 

私の昔務めていた会社も食品工業関係だったので、こういった食品製造副産物といったものをどうするかは課題でした。

ごく一部だけ再利用をするという仕事もやったのですが、大変だった記憶があります。

とはいえ、廃棄物処理も大きな負担になるのはもちろん。

「なんとかしよう」という心構えが大切だったと思います。