爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「四字熟語の中国史」富谷至著

京都大学教授の富谷さんの著書です。
四字熟語というと非常に多くのものがあり、四字熟語辞典などというものまであります。その出典などははっきりしているものも多く、分かっているような気にもなりますが、それが四字熟語として成立し広く認識されるようになるには歴史的な経過が必要であったということです。
例えば論語の中の言葉で温故知新といえば誰でも知っているはずですが、これが通常、ふるきをたずねてあたらしきをしる と読まれるのにも相当な解釈の歴史が積み重ねられているとのことです。普通は温というのがなんで尋ねるなんだと思います。
また、風林火山という武田信玄で有名な言葉ですが、これが孫子兵法書から取られたということは知られていますが、実は中国では四字熟語の成語としては扱われていなかったそうです。信玄自信も孫子から直接取ったというわけでもなさそうです。

この本のまとめのところに記された、「漢文はなぜ難しいのか」という解説はなかなか示唆に富むものでした。