爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「”現代デフレ”の経済学」斎藤精一郎著

経済学関係の本というのは、出版から何年もしてから読み直してみるとその内容の真価が素人にもはっきりと分かり面白いものです。
エラそうなことを書いてあってもその後の経過はまったく異なるというものはたくさんありそうです。

この本は1998年PHP新書の出版で、15年前になりますが、そういった意味ではかなり正確な観測と予測がなされていて評価できるものではないかと思います。

著者の斎藤さんは日銀勤務のあと立教大学に移られ、当時は社会学部教授であったようです。

まず、現在はデフレであるというのはまったく異論が無い状況でしょうが、出版当時はそうではなかったというのが、今では少し忘れかけていたことでした。確かにはっきりとした記憶はありませんが、デフレだと主張するとすぐに反論されていた時期があったように思います。
その中で、当時はすでにデフレ状態であり、それも昭和初期のような古典的デフレとは違った新型のデフレであるという主張をこの本ではされており、まず間違いない結論であったのではないでしょうか。

しかし、分析はともかくデフレ対策については15年後の今でもまったく効果を挙げられず、どうすれば良いかの方向性が不明確な中ではあるが、この本でのデフレ対策は、地道に企業の体力を上げるしかないということのようです。(このあたり、うまく読みこなせていないかも知れません)
金融政策頼りでは反作用が強いという風に読み取りましたが、どうなのでしょうか。