著者の小林さんは高校の物理の教諭を長く勤められ退職後は色々と興味のあることを調べているという方ですが、専門家という人々が語っているものよりも遥かに常識に根ざした真っ当な考え方をされているように思います。
CO2の削減などというよりは、消費エネルギー全体の削減、
省エネ機器などというものはエネルギー削減にはつながらない、
原発、自然エネルギー開発などはエネルギー削減につながらない、
経済成長を下げて幸せに暮らす、等々、
極めて当然のことを平易に分かりやすく語られています。
本書は2009年出版ですので、福島原発事故もまだ起きていない頃のものですが、原発の地震災害についての警告も発しておりさらに原発そのものがエネルギー節約にもつながらずかえって化石燃料の消費増強になったという指摘をされており、的確です。
出版当時は二酸化炭素温暖化対策としてのエコ活動最盛期と言えるころですが、その欺瞞性についても批判をされています。
原発が二酸化炭素削減などにはまったくつながらないということとともに、自然エネルギーなどもほとんど経済的に機能するとはいえず、技術的にはまだまったく未完のものであり量的に拡大することは避けるべきという主張です。
省エネ機器や家庭での節電など、そのような小手先の手段ではどうしようもないということ、消費エネルギー削減のためには経済成長などは捨ててもやらねばならないことがあるということも正論でしょう。
なお、巻末にはIPCCの主張の紹介もされており、その疑問点も並べてあります。温暖化説主導者たちの専門用語で一般人を煙に巻くような言い方ばかりが多い中で、非常に平易に疑問点を解説されおり、分かりやすいものでしょう。
著者プロフィールを見るとすでに現在は80歳を越えておられるようです。まだまだお元気で主張を発信していただきたいものです。