爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「誰が日本を支配するのか、沖縄と国家統合」佐藤優、魚住昭編集


外交官だった2002年に逮捕されその後失職してからは論客として活躍している佐藤優さんを中心とした沖縄問題を扱いながら国家の統合について何人かの意見をまとめたものです。

佐藤さんの母上は沖縄出身で沖縄戦では九死に一生を得た経験をされた方ということで、佐藤さんの沖縄に関する意見にもその立場が強く出ているようです。普天間問題を初めとする基地問題では沖縄の人とそれ以外の日本人では大きく認識が異なります。

東郷和彦さんの意見では、鳩山元首相の功罪についても論じられています。今では混乱させただけの無能首相とされ罪はあれこれ言われても功を言う人はほとんどいないようですが、これまでの自民党内閣や、鳩山以降の民主党政府でも誰も一言も県外移設を言わず、ごり押しで辺野古移転を進めていた中で、結果として何もできなかったとしても県外移設と言い出したおかげで、沖縄の人達の意識を高め、結束を強めたことは本人の意図に関わらず功と言えるのかも知れないということです。

真剣にこの問題に向き合わないと、沖縄独立など思わぬ方向へ進ませてしまう可能性もあります。
中国の進出が現実化するなかで、沖縄をめぐる問題は複雑になる一方のようです。