子どもに「なんで勉強しなければいけないの」と聞かれて答えに困る大人は多いと思います。
中学高校ともなると普通の社会生活には必要ないような高度な内容のものまで含まれており、それをなぜ皆が勉強しなければいけないのか、不思議に思っても当然かもしれません。
しかしそのような個別の事例そのものが必要かどうかということよりも、それを含む学問の体系すべてが現在の社会を作り上げているということを考えると、その一端にでも触れておくことが社会を構成する人間一人一人について必要な事でしょう。
さらにこの本では著者は「学ぶ」ということの大切さも語ります。
いや、この本の主題はどうやら、子どもだけでなく学校を卒業した大人たちにも何かを学ぶという姿勢を持ち続けることが大事だということのようです。
そんなわけで、最初の部分では数学や理科、社会などの学校の科目の必要性についての解説もありますが、その後は哲学というもの、そして孔子やソクラテスといった歴史上の賢人たちのことまで詳しく説いています。
勉強をするための仕掛け、する人がワクワクするようなものがあると引き込まれやすいようです。
たとえば大人の社会講座のようなところでも、「松尾芭蕉の全句の中から30句を選んでその理由を述べよ」といった課題を出すことによって、講座自体が活き活きとなることがあります。
これは「学ぶ」ことが「自己表現」につながるからということです。
クラシック音楽が好きな人なら「好きなピアニストベスト10」でも良いかもしれません。
それを選ぶということ、そしてその理由を説明するということが効果を上げてくれます。
このように、「アウトプット」を意識しそのために準備することが勉強の根幹と言えるかもしれません。
学校の勉強ばかりをイメージすると「インプット」ばかりのように感じるかもしれませんが、アウトプットを前提としたインプットだからこそ意味があるということです。
哲学や宗教、古典などの教養を身に着けるということが最近はまったく下火になってしまいました。
即物的な勉強ばかりになってしまうと、人間が浅薄になっていきます。
意識してそのようなものに触れる機会を作ることが必要でしょう。
