火山学で有名な鎌田さんが「読書術」について書いたものです。
鎌田さんは若い頃から読書が大好きで、色々な本をたくさん読んできたそうです。
どうりで、これまで読んだ本は火山関係であっても読みやすい文章でした。
しかし、最近の若い人には読書が苦手という人が多いようです。
特に理科系の人達、著者が大学で指導しているような人達にそういう人が多いのでしょう。
そのため、大学で地球科学の講義をする中でも、時間を割いて「理科系の読書術」というものを説明してきたそうです。
どうやら、読書というものについて、学生たちはこれまであまりきちんとした指導を受けていないようです。
そのため、今になって専門書を前にして苦労してしまうとか。
そういった人たちに少しでも読書に取り組んでもらえるよう、本書には分かり易く解説しています。
「読み始めても最後まで読み通せない」ことが嫌で読書できないという人がいます。
しかし、別に本を読破することがエライわけではありません。
嫌になったら途中で止めてしまっても構わないそうです。
そこまで読んで捉えた内容だけを使えればそれで十分。
読んでいても難しくて理解できない本があります。
しかし、本が難しいのは「著者が悪い」ことが多いのです。
分かり易く書くのも著者の義務なのですが、一部の著者はわざと難しく分かりにくく書くことがあります。
そんな本をいつまでも抱えていることはありません。
読書という行為にも「アウトプット」と「インプット」という要素があります。
「知的生産」と「知的消費」という面もあります。
知的生産とはレポートや企画書、論文、書籍などの形に自らの思考を形にすること。
知的消費はそういう形にするのではなく、本を読む、教養ある会話をする、ネットサーフィンなど、直接生産に結びつかない行為です。
教養を深めるという行為も知的インプットですが、こればかりを行っていると知的アウトプットから遠ざかってしまうということになりかねません。
やはり何らかの「アウトプット」を目指すというのがバランスの取れた読書活動と言えるでしょう。
本の読み方でも、鎌田さんは鉛筆を持ってどんどんと書き込む方針だそうです。
そのため、原則として本は購入する。
私のように図書館で借りるのが主流では、書き込みをするわけには行きませんので、そこが少し違うところでしょうか。
鎌田さんも子供の頃からの読書好き、小学校では図書委員となって図書室に入り浸ったそうです。
私もそっくりでした。