爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ダルタニャン物語2 妖婦ミレディーの秘密」アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛訳

ダルタニャンの物語その2、ミレディーとの対決が主となりそこにラロシェル包囲戦やバッキンガム公爵暗殺などの史実を絡め描写していきます。

 

ダルタニャンと銃士たちはイギリス人と決闘をすることとなりますが、ダルタニャンの相手は剣の腕は大したことなく、すぐに剣を跳ね飛ばして相手を刺し殺す態勢になりますが、降参を受け入れて助命します。

その相手、ウィンター卿とダルタニャンとは友人となり、何晩も自宅に招待されることとなります。

そこで出会ったのが、あのミレディー。枢機官側のスパイであることはダルタニャンも感じていましたが、毎晩の歓待とその美貌に徐々に気持ちが動いてしまいます。

そんな折、ミレディーの侍女のケティーがワルド伯爵への手紙をその従者に渡すところを間違えてダルタニャンの従者ブランシェに渡してしまいます。

その手紙を読んだダルタニャンはミレディーの恋心は完全にワルドに向いていることを思い知らされ、ミレディーに対して復讐をしようとします。

ティーは何晩も訪れたダルタニャンに一目ぼれ、ダルタニャンの言うがままにミレディーからワルドへの手紙をすべてダルタニャンに渡してしまいます。

返事が無いことをミレディーから責められたケティーのため、ダルタニャンはニセ手紙を書き渡します。

深夜の真っ暗な部屋での逢引を成功させ、ついにミレディーの身体まで頂いてしまったダルタニャンはつい心が緩みニセ手紙の件を相手にしゃべってしまいますが、ミレディーは豹変、殺さんばかりにつかみかかりようやくダルタニャンは逃れます。

しかしその後、ミレディーはダルタニャン暗殺の手を次々と繰り出してきます。

 

ちょうどその頃、ラロシェルの新教徒の反乱がさらに激戦化し、イギリスもバッキンガム公爵が大軍勢の派兵を決めるなど緊迫し、フランスも国王自ら出陣、銃士隊も出兵します。

その軍備の調達も当時は各自の才覚であったようで、ポルトスを始めその費用を稼ぎ出すドタバタも面白く描かれます。

 

ラロシェルへの出兵とはいえ、ダルタニャンはまだ身分はデ・ゼッサール殿の衛士隊員であり、アトスなどの銃士隊より早く出陣します。

そのため、ミレディーからの暗殺者、アトスの名をかたって毒入りワインを送られるなど相次ぎます。

そんな中、国王や銃士隊もようやく戦場へ到着。

ダルタニャンと銃士たちも再会します。

 

とはいえ、包囲戦は常に戦闘しているわけではなく、銃士たちはほとんど暇を持て余していました。

そんな中、三銃士がぶらぶらしていると枢機官がお忍びの外出をするところに出くわし、その場の流れで三銃士も枢機官の警護をすることになります。

その枢機官の用事というのが「ミレディーとの密談」ミレディーに秘密の指令を出すことでした。

ミレディーの滞在する宿屋に入り、三銃士は階下の部屋に待機させ、リシュリューは階上のミレディーに居る部屋にあがっていきます。

するとなんと都合の良い展開と言うべきか、釜戸の通気口を伝って上の部屋の密談が三銃士にも聞こえてきたのです。

そこでリシュリューが指示したのが、イギリスへ渡りバッキンガムをどうにかすること。その代償としてダルタニャンの命を奪うことも許されます。

そして、それを許可する書状もミレディーに渡されます。

そこまで聞いたアトスは帰途の安全確認を口実にいったん先に宿を出て、その後枢機官たちが宿を出た後に一人もどってミレディーの部屋に押し入ります。

実はアトスはミレディーが最初に結婚した相手で、その肩に百合の花の焼き印すなわち盗賊で逮捕されたことがあるのを最初に見た男でした。

どちらも相手が死んだと思い込んでいたのですが、その再会にミレディーも驚愕、枢機官から貰った書状を取られてしまいます。

しかしやることはやらねばとミレディーはイギリスへ旅立ちます。

 

それで知った秘密をどうするか。

それを三銃士とダルタニャンは相談しようとするのですが、どこも人がたくさん、さらにその中には枢機官のスパイも多数ということで、密談の場所がありません。

そこで考えたのが、ラロシェル側との最前線、サン・ジェルヴェの稜堡に食事をもって立てこもり、1時間耐えて見せるという賭けを周囲の軍人としたのでした。

これで周囲を気にせず密談が可能、それを多くの軍人たちが見守るという構図を作りました。

もちろんラロシェル側もただで見ているはずもないので、数名の偵察隊から数十名の部隊を派遣、それは銃士たちが撃退しますが、最後に一部隊が出陣してくるとさすがに撤退、それでも優に2時間持ちこたえることができ、賭けは大勝利、しかも密談も成功します。

これでバッキンガム暗殺計画についてロンドンにブランシェ、アラミスの知人マリーミション(王妃の友人)にはアラミスの従者バザンを派遣して報せることになります。

 

ミレディーはイギリスへ直行したものの、海が荒れたため船が出ず、強行したブランシェに後れを取り、ミレディー到着時にはすでにウィンター卿の対策がとられていました。

港からすぐにウィンター卿の城に連れていかれ幽閉されたミレディーは何とか打開しようとします。

ミレディー幽閉の指揮を執っていたのがウィンター卿配下のジョン・フェルトン中尉。

生粋の清教徒でした。

そのためミレディーはバッキンガムにより迫害された清教徒女性になりすまし、フェルトンの同情を得ることとします。

最初は耳を貸さなかったフェルトンですが、やがてミレディーを信じてしまい、自らがバッキンガムの暗殺を企て、その後ミレディーと共にフランスへ逃れる手はずとします。

そして1628年8月23日、ポーツマスでフェルトンはバッキンガム公爵を暗殺します。ミレディーはそれを悟るやすぐに船を出させてフランスに逃れます。

 

ミレディーがフランスに上陸後、枢機官配下のローシュフォール伯爵と落ち合う手筈になっていたのが、ベチューヌのカラメル会修道院でした。

そして何の因果かダルタニャンの愛するボナシュー夫人がようやく枢機官側から王妃側によって助け出され、なんとか行方をくらませて入っていたのも同じベチューヌの修道院でした。

ミレディーがそこに到着すると何の事情も知らない修道女たちによってボナシュー夫人と会い、話をうまく合わせて「一番の友人」に収まります。

しかしそこにダルタニャンたちがボナシュー夫人救出に到着します。

もう時間が無いと思ったミレディーは隠し持った毒薬をボナシュー夫人に飲ませて殺害、自らは次の予定地に向かいます。

一歩遅れて到着したダルタニャンたちはボナシュー夫人の遺骸を見て悲しみますが、アトスがすぐにミレディーを追い詰めることを強調し、さらにイギリスから到着したウィンター卿などと共にミレディーの隠れ家を突き止めます。

 

最後のミレディーの処刑の場面はこの作品の中でも随一の見せ場で、その情景もよく考えられたものです。

リス川のほとりの隠れ家から引き出されたミレディーはアトス、ダルタニャン、ウィンター卿、そして最後に参加したリルの首切り役人によってこれまでの罪状を並べられ、死刑以外にないと判決を下されます。

そしてリルの首切り役人によって舟に乗せられ、一刀のもとに首を落とされます。

 

最後に、ダルタニャンたちはリシュリュー枢機官によって捕らえられ、尋問されるのですが、ミレディー処刑については自分にはその資格があると言い張ります。

それが、あのアトスがミレディーから奪い取った書状「この書状の携帯者は余の命令により国家のために行動するものなり。リシュリュー署名」というものでした。

それを見たリシュリューは、これ以上ダルタニャンたちを処罰する気は失せ、代わりにダルタニャンに渡したのが「銃士隊副隊長辞令」でした。

辞令には名前が入れてなかったので、アトス・ポルトス・アラミスに受け入れるよう話しますが、皆もはや銃士には未練はなく、結局はダルタニャンが銃士隊副隊長に就任するというところでこの話は終わります。

 

場面としての印象的なものは、「サン・ジェルヴェ」と「リス川のほとり」でしょう。

色まで想像できるような描写の中、緊迫した筋書きが流れます。

映画にするならやはりこの場面に一番金を掛けるところでしょうか。