爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

夢の話「抗生物質発酵生産の現場」

まだまだ仕事の夢は止まりません。

(このブログの流れをあまりご存じない方は意味が取りにくいかもしれませんが、これはあくまでも私が眠っている時にみた「夢」を書き留めているものです。夢の題材ももう仕事を辞めて10年以上経つのに、まだ仕事関係のことが多いという状況です)

 

抗生物質を発酵生産する工場の現場に私はいます。

それほど大きなタンクではないので、担当していたものの中でも生産量の少なかったものの方でしょうか。

私の立場は現場リーダーのようです。

若い後輩たちが何人か働いています。

種菌を増殖させた液(種母と言います)をタンクの中に無菌的に投入するのは、やはり自分でやらなければ失敗する危険性もあるということで自ら作業をします。

 

発酵が進んだタンクでは覗き窓から真っ赤な培養液が見えます。

赤味が増すほど順調に進んでいるので良いことなのですが。

 

誰かが何か操作のミスをしたようです。

発酵液(ブロスと言います)がサンプリングコックから噴き出してそこら中赤い液が飛び散ります。

猛毒とまでは言わないけれど、口に入ると危険なのであわてています。

服には赤い液が飛び散りあちこち赤いシミになっています。

とんだ修羅場の状況です。

どうしよう、どうしようで切羽詰まって目が覚めるという、いつもの夢のパターンでした。

 

さて、いつもの「夢と現実の差」

抗生物質発酵生産というのも、かなり長い年月の間担当していました。

私の勤めていた会社では、大きいものは数十トンのタンクを使うものから、小さいものは20リットルのジャーファーメンターで行なうものまで、数種類の発酵を行っていました。

私が実際に担当していたのは、大規模装置の方では「種母」担当が主でした。

種菌をフラスコ程度の培養液で増やしてタンクで滅菌した原材料に加えて発酵をスタートさせるというものです。

ここで雑菌を混入させる(コンタミといいます)と数十トンの原料(数百万円分)が廃棄となるので、慎重な操作が必要でした。

幸い、私の担当していた間にはそういった事故はありませんでしたが。

 

「赤い発酵液」というのも実際に存在しました。

使っている微生物は「放線菌」というものなのですが、主たる生産物の抗生物質が強烈な色を持つ場合もあり、また他に色素を作ることもあり、なかなか色とりどりでした。

それほどの毒性はないのですが、やはり取り扱いには気を使ったものです。

なお、服に着くともう色が取れず、洗濯しても赤いままということはよくありました。

 

放線菌という微生物は好気性が強く、酸素供給が少し途切れただけで死んでしまうこともあるため、高圧の空気を強制的に吹き込んで酸素供給を行うということをしていました。

そのため、タンク内も常時加圧状態となり、(これはコンタミ防止の意味もあります)サンプリングなどで少量の液を取る場合も注意しなければ内容液が噴き出すことがあります。

自動制御のバルブであれば良いのでしょうが、昔の装置では手作業で順序良くやらねばならないということもありました。

 

 

もう仕事を辞めてから10年近く経ち、さらに現場作業から離れたのはそれからさらに5年も前のことですが、まだリアリティー満載の夢を見ます。

これは死ぬまで続くのでしょうか。