中国(台湾)にルーツを持ちながら日本生まれで日中両国の文化に精通し多くの小説を書き残した陳さんが奥様と共に様々な料理について語った本です。
中国の料理の話ばかりでなく日本のことについても触れており、その範囲は広いものです。
中国の料理の手法を表す漢字というものは非常に多く、料理の名前に含まれているものもありますが、日本人にはよくわかっていない場合が多いようです。
それについてまとめて解説されていました。
煎(チュン):日本では煎じることだが、中国では少量の油で炒めること。
炒(チャオ):煎よりは油が多く、強火で短時間で炒めること。
炸(ツア):揚げること。
爆(バオ):沸騰した水や油の中にさっと入れてすばやく取り出す。
炮(パオ):材料を何かに包んで油鍋に入れる。
燜(メン):いったん油でさっと炒めたものを少量の水を入れた鍋でとろ火で煮る。
焼(シャオ):炒めた材料を鍋で水をくわえて煮て、そのあと取り出して弱火で焼く。
烤(カオ):あぶる。有名な北京ダックのように火であぶって丸焼きにする。
これで少しは分かりやすいかも。
日本国内の話では、長崎と沖縄に出かけて中国の影響を見た話が興味深いものでした。
長崎は江戸時代から続く中国との貿易で多数の中国人が来日していたためその影響が強いながらも日本の風習と味覚もかなり入っているとみています。
一方、沖縄では中国人も多数居住していたのですが、それでも中国そのままではない琉球独自のものがかなり入っていると感じています。
ただし、魚は刺身にするのはちょっといただけないとか。
中国の食材や料理についての蘊蓄はかなりのものです。
ただし、中国でも地方によって大きな差があり、地方が違えば見たこともないものもあるとか。