爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

EV用の電池の問題点は何か。

電池で動く電気自動車が脱炭素化への大きな役割を果たすと言われていますが、その電池に関しては多くの問題点があるとされています。

それについて、自動車ジャーナリストという池田直渡さんという方が分かりやすい解説をしていました。

news.yahoo.co.jp

現在実用化されている電池には鉛電池やニッケル水素電池もありますが、現状ではEV用というのはほぼ全部がリチウムイオン電池だということです。

 

これにはリチウムの他に希少金属が使われており、三元系と呼ばれるように、ニッケル・マンガン・コバルトの三種類の金属を使っています。

この中でコバルトはその大半をコンゴ民主共和国で産出しますが、そこは非常に治安が悪く政府と反政府組織の戦闘状態が続いており、その双方がコバルトを戦費調達の手段としているそうです。

このようにコバルトはその供給に大きな不安を抱えています。

 

そこでそれを回避する構造のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが注目されているということです。

これはコバルト・ニッケルの代わりに鉄を使うというもので、以前から知られていたのですがエネルギー密度が低いために積極的には開発されていませんでした。

しかしコバルト系の電池の原料問題と比べて比較的安全ということでまた開発が進められています。

しかし、池田さんの指摘によればその点が逆の問題点となるようです。

コバルト・ニッケルの電池はその素材の価格が非常に高いためにリサイクルの旨味もあり、商業的にリサイクル実施が可能となっています。

しかしリン酸鉄電池はそれがなく、おまけにマンガンが含まれており廃棄した場合にはその有害性が問題となります。

結果的には廃棄費用まで含めて考えると本当に価格が安くなるのか疑問だそうです。

 

最近の開発で出てきた全個体電池というものが優れた特性を持ちこれがゲームチェンジャーとなるという話もあります。

多くの新技術を詰め込んだ期待の星のようですが、実際にはまだ相当なコスト高となり、価格も高くつくために富裕層向けの高級車となってしまうようです。

さらにもしも量産効果で価格が下がってくると今度はその高性能が逆に充電装置の不足をもたらすかもしれないということです。

今とは比べ物にならないほどの高速充電器が必要となりますが、そのような装置は価格も非常に高価となり、それを誰が支払うのかも不明です。

 

EVと騒いでいますが、その肝心の電池は大きな問題があると感じていましたが、どうやらそこが本当にネックのようです。