爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギーや温暖化の問題で人々が完全に勘違いしていること その1

エネルギー問題や地球温暖化について、世界中で意識が高まっているようで、それ自体はちょっと前の風潮を考えると大した変化だと感心します。

しかしその中には大変な勘違いをしている場合も多く、またそれが社会の主流となってしまっているかのように感じます。

 

ちょっと前にCCS(二酸化炭素地下貯留)ということに関し思うところを書いたのですが、それに対し以前からそのブログ(雑草の言葉

https://zassou322006.blog.fc2.com/

)を非常に参考にさせていただいている雑草Zさんからコメントがあり、それについてあれこれ考えているうちにその「勘違い」について多くのことが思い当たりました。

CCS(二酸化炭素地下貯留技術)は二酸化炭素濃度削減の切り札なのか。 - 爽風上々のブログ

 

それは何かというと、

1.温暖化の原因は大気中の二酸化炭素濃度の上昇のみによると考え、二酸化炭素さえ出さなければそれでよいと思い込む。

2.「運転中には二酸化炭素を出さない」だけを達成すればよいと思い込み、その装置を作るための鉄板一枚、ボルト一本を作るにもエネルギーを消費しており、そこには大量の二酸化炭素発生が隠れていることを忘れている。

3.いかに気候変動の影響が多大と言われても、経済成長は絶対達成しなければならないことであるからと考え、そのためにはエネルギー消費削減などあり得ないと思い込む。

 

といったものです。他にもあるのでしょうがとりあえず思いついたものを挙げました。

 

まず、1.温暖化の原因は大気中の二酸化炭素濃度の上昇のみによると考え、二酸化炭素さえ出さなければそれでよいと思い込む。

ですが。

これは多くの政治勢力がそれを戦法として使っており、巧みな宣伝で世界中を席捲していますのでそれを信じてしまうのもやむを得ないのかもしれません。

 

しかし「二酸化炭素濃度の上昇で温暖化が進む」ことが間違いないことだとしても、それだけが地球環境、人類の生存、文明の存続などのための主要で唯一の問題であるとは言えるはずもありません。

二酸化炭素排出以外の大きな問題で世界中が揺れ動いているのは誰でも分かることでしょう。

 

ウクライナ紛争や中東問題を別にしても、エネルギー、化石燃料、科学技術、経済成長といったものをめぐる中で「二酸化炭素濃度上昇による地球温暖化」が第一の問題だというのは非常に狭くかつ偏った見方だといえます。

 

人類はそんな問題よりはるかに困難で危険な状況にさらされているといえるのです。

多くの問題が一気に世界中を混乱させる危険性をはらんでいますが、その中でも私が最も危惧しているのが「エネルギーの不足」です。

 

現代の人類文明が「エネルギー依存」であることがここで何度も書いてきました。

科学技術全盛ですが、その技術のほぼすべては大量のエネルギー消費で成り立っています。

またエネルギー消費は経済成長とも密接に関わりそれがほぼ同調しているのも明らかです。

 

そのような大切なエネルギーの供給が不足したらどうなるか。

 

これを正面から取り上げたのが「オイルピーク説」でした。

石油の埋蔵量はすでに最初の半分を割り込んでおり、石油供給はピークを過ぎて今後は減り続けるというものです。

これに対しては多くの人々から強い反論が寄せられましたが、「すでにピークを過ぎた」という事実は否定できたとしても、「やがてピークを迎える」ということを否定できる人はほとんどいないでしょう。

あと10年で石油供給が減少しだすということは無いとしても、あと100年であれば十分にその可能性が強くなります。

どうやら人間というのは自分が生きている間のことにしか頭が回らないようで、遠い将来のことなど考えても仕方ないと思うものなのでしょう。

 

しかしエネルギーが不足する事態はいつかは必ずやってくるはずです。

その時に今の流行りの新エネルギーが対処できるのでしょうか。

これについては2の項で詳しく述べますが、一言でいえば化石燃料ほどの優れたエネルギー源は他にはありません。

それが枯渇に向かうだけでも人類文明は危機に陥るでしょう。

ウクライナ紛争の余波とはいえ、今の石油や天然ガス流通の混乱で価格高騰していることがどれだけ社会を揺り動かしていることか。

これが本質的な危機、化石燃料の埋蔵量が尽きかけるということになれば世界全体が揺れ動くことになるでしょう。

 

話を「二酸化炭素問題」に戻しますが、二酸化炭素濃度の上昇だけが問題と単純化する風潮のせいで二酸化炭素を出さない、あるいは直接二酸化炭素を取り除けば良いだろうという方向に向かう人が出てきました。

「運転中には二酸化炭素を排出しない」などという謳い文句はあちこちで聞きますし、CCS(二酸化炭素の地中貯留)という話もあたかも地球を救うがごとき言われ方をしています。

それが本当に真実ならば良いのかもしれませんが、多くは現実化するためには多くの欠点を含んでいます。

運転中には二酸化炭素を排出しないと言われている、EV(電気自動車)や燃料電池などでもそれに用いる部品には多くの化石燃料が使われていますし、燃料電池などは用いる水素に現状では天然ガスなどから合成したものを使っています。

その準備のためにいやというほど二酸化炭素を排出しながら、「運転中には確かに二酸化炭素は出さない」と言われてもね。

さらに二酸化炭素の地中貯留に至っては、それを為すためのエネルギーが莫大なものになることも言わず、本当に地中に留まっているかという疑問も無視。

金を使って実施する企業を儲けさせるだけが目的のように見えます。

 

そういった矛盾が横行するのも「二酸化炭素だけが問題」という風潮にあると言えます。

確かに大気中二酸化炭素濃度の上昇による地球温暖化というのは存在するのでしょうが、それが大問題かというと疑問です。

人類には他に多くの問題が山積しています。

 

あまりにも長くなりすぎるので、2以下はまた次回。