爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「内田樹の研究室」より「被査定マインドについて」

内田樹さんは「思想家」と紹介されることが多いと思いますが、合気道を教えている「武道家」という側面もお持ちです。

今回のブログは「被査定マインドについて」というものですが、内田さんの武道家としての面が色濃く出ているものでした。

ただし、もちろんそこから見た現代日本への提言という性格を強く出しているのですが。

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合気道もそれを習いに通う人すべてが武道を目指すというわけでもなく、スポーツの一種として来ている方も多いようです。

そのため、合気道でも勝敗を競うとか技量を査定するといったものだと考えがちだそうですが、それは誤りだそうです。

武道というものは「査定」されるようではだめだということで、査定されている時点ですでに敗けている。

自分がその場を主宰するのでなければならないのだそうです。

 

しかし現代日本ではすべての面で人からの査定を受けるのが当然のようになってしまった。

学校教育での試験を突破などというものは完全に他からの査定そのものです。

それに勝ち抜いて行ったところでその路線を決めた連中には絶対に勝てない。

 

それを合気道の門人に説明しようとしてもなかなか分かってもらえない。それほど現代日本の病は深いというものでした。

 

これを聞いて、日銀総裁の事を思い出しました。

彼は学校時代から受験競争では抜群の成績だったそうです。

そして司法試験にも合格、大蔵省入省、とすべての試験に打ち克ってきたような人間です。

しかし日銀を率いてからは現状認識すらできていないことをさらけ出しています。

受験秀才では大きく変わる現実などはどうにもできないということを教えてくれています。

彼も武道に打ち込みその奥義に近づけばあのような醜態は示さなかったかどうか。

そういう人は大蔵省や日銀などには近づかないかもしれませんが。