小説家で多くの作品を書いている清水さんですが、エッセイも多く、この学科シリーズも何冊も発行しています。
この「おもしろくても理科」は、おそらくは大多数を占めるであろう文系と言われる人々に理科(物理・化学・生物など)を面白おかしく解説しようというもので、各章はどうやら専門家の助言を受けながら間違いのないように書いていますが、あくまでも素人だということを前面に押し出すようなスタイルとなっています。
なお、「え・西原理恵子」となっていますが、これは挿絵といったものではなく、おそらく原稿が上がったところで西原さんに見せ、それを感じるままに描いたという様子で、ほぼ内容とは一致しないようなものとなっていますが、それが気分転換のように作用するのかもしれません。
10章の内容は、「慣性の法則」「時間よ止まれ」は物理学の内容、「海辺の生き物」「脳プロブレム」「油断大敵・痛ミシュラン」は生物、「地球くんの履歴書」「人口の爆発はこわい」は生物的な内容でもあるような、進化や地学的でもあるようなものとなっています。
まあ、かなり真面目な内容を相当頑張って誰でも分かるような書き方で説明しようという、難しいことをやっています。
内容に少し古いところもあるのは仕方のないところで、1994年に単行本発行(文庫版は1998年)ですから、その後に新学説が出たことで定説も変わったということでしょう。
地球史上に大絶滅はこれまでに5回あり、現在が6回目というのが今の説ですが、本書では3回ということになっています。
最後の部分は人口爆発から人類の絶滅というところまで話が進みます。
これを「理科」の問題と捉えるかどうかはちょっと疑問もありますが、まあ地球史というものとの関連と考えればここで触れるのも悪くはないのかもしれません。
こういったものを読んで真剣に考えようとした人が何人かでも居たらよかったのでしょうが、どうでしょうか。