SDGsの中でもうたわれている、「生物多様性」ですが、それがどういったものか、認識は進んでいないものと思われます。
SDGsの17の目標の中で、生物多様性に関係するのは主に14、15の「海・陸の豊かさを守ろう」というところでしょう。
これに対して、取り組み事例として挙げられているものを見ると、海洋汚染プラスチックを無くすための活動であったり、木を植えましょうといったもののようです。
もちろんそのような活動がまったく無意味であるとは言えませんが、まったく迂遠であるとは言えるでしょう。
人類の生息範囲がどんどんと広がっていく中で、多くの生物が死滅していき、今は「大絶滅時代」であるとも言われます。
これまでにも地球史上にはいくつかの大絶滅時代があり、全球凍結や火山活動の劇化、小惑星の衝突などという全地球的な災害で多くの生物が絶滅していました。
人類の活動というものがそれと同じような大災害なのでしょうか。
そうであるとも、それほどではないとも言えます。
人類が全世界に広がっていくと、そこに住む動物は食用とされて多くが絶滅していきました。
近代になると、単に油を取るためとか、羽毛を取るためと称して特定の生物を取り尽くすということも見られました。
しかし、現代で特に顕著なのは「人類にとって良い環境を作るために他の生物の住む環境を改変している」ことです。
生物多様性に富む環境は、人類の住環境として必ずしも快適なものではありません。
害虫や寄生虫、病原菌が溢れるような環境は人類の生存に危険とも言えます。
こういった環境にも人が住むために殺菌消毒などと言うことをしてしまいます。
これも「生物多様性を失わせる」行為であることは確かなのですが、それを我慢することはできません。
さらに、数十年に一度とは言え、大水害で家や農地が流されるのは耐えがたいものです。
それを防ぐために河川改修やダム建設を行います。
多くのダム建設で問題化されたように、これらも確実にそこの環境を改変し、在来生物にとっては生育環境が破壊されることになります。
そのような大きな工事だけでなく、近くの農地の周囲の用水路でも昔のような土が現れているようなものではなく、コンクリートで固められた水路への工事がどこでも進んでいます。
そこにはそれまで住んでいた昆虫や小魚は生存できなくなります。
このように、人類が快適な環境で、安全に暮らすこと自体が生物の住環境を破壊しているということをどれだけ認識されているのでしょうか。
もしも「生物多様性」を守るのであれば、地球上の相当広い範囲を人が入ることのできない地域として残していく必要があると思います。
自然環境と言うと熱帯雨林や南洋諸島、高山などが思い起こされますが、あらゆる気候帯でそれぞれ固有の自然環境があったはずです。
「生物多様性を守る自然地域」としては、熱帯などだけでなく「温帯」も必ず残さなければなりません。
例えば日本の半分を人類が入れない自然保護地域とするといった、そういう方策が必要だということです。
このブログ題名に「覚悟は大変なものだ」と書いた意味がお判りでしょうか。
例えば、世界各国が自国の半分を人類立ち入り禁止地区として「完全に自然に還す」
そして人間が利用できるのは後の半分だけとするといった施策が必要だということです。
「木を植えます」などといったSDGs取り組みなどとははるかに違う次元の話だということです。